2016年4月12日火曜日

共同代表4人の発言

めげずに頑張らなければならない気持ち(上田文雄)

バッシングとヘイトスピーチは続いている(小野有五)

始めたからには負けるわけにはいかない(神沼公三郎)

脅迫を誘発した張本人の考えを聞きたい(結城洋一郎

ソファ中央・上田さん、向かって左隣・神沼さん、
後の列左から小野さん、結城さん。
画面左端は伊藤誠一弁護士
(4月12日、札幌司法記者クラブで)
設立発表の記者会見は4月12日午後4時から、札幌司法記者クラブで行われた。記者会見には、7人の共同代表のうち、道内在住の上田文雄さん、小野有五さん、神沼公三郎さん、結城洋一郎さんと弁護団(2弁護士)、事務局メンバー(6人)が出席した。4人の共同代表はそれぞれに、裁判の意味と支える会の役割を語り、幅広い市民の支持・支援を訴えた。出席の記者らには的確な報道を行うように求めた。以下に4氏発言要旨。

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上田文雄さん(前札幌市長、弁護士)
1991年、25年前、従軍慰安婦に関する調査記事が捏造記事だと指弾され、植村さんはいわれなき指弾、捏造記者というレッテルを貼られた。ここにおられるメディアのみなさんが、捏造といわれたら、どのような立場でお書きになっていても職業的に死刑宣告を受けたということになる。それほどひどい表現で、何度も使われ、今日でも、事実が捏造ではないということが分かった段階でも、捏造記者というレッテルを貼られたまま、彼は大変厳しい立場に立たされている。
転職がきまっていた女子大学の就職が取り消しになり、北星学園大学の講師の地位も追われかねないという状況に追い込まれた。植村さんへのバッシングとともに、お嬢さんへの脅迫にとどまらず、大学にやめさせろという攻撃がなされた。
日本の民主主義、学問の自由、表現の自由、ひいては、われわれの知る自由を含め、基本的なところに対する厳しい挑戦が行われた。その危機感から、当初から関心をもち、事件の流れを関心を持ち続けていた。また、めげすに頑張らなければならないということで、大学にも、植村さん自身にも励まさせていただきながら今日までやってきた。
訴訟は東京、札幌と分かれているが、裁判が独り歩きしないよう、市民が関心を持ち続ける、非常に大きな事件なので、情報を共有しながら、裁判の意味、言論に対する卑劣な弾圧に、しっかりした感覚を持ち続けることが必要な事件だ。それだけの価値がある事件だ。
「支える会」という名称だが、裁判をわがことのように市民がとらえて、関心を持ち続け、支援をする会をつくりたい。時間が相当かかる裁判の展開になろうかと思う。日本の民主主義をまもるために、基本的人権の自由、学問の自由、言論、表現、報道の自由が守られる札幌であり続けるために、みなさんに関心持ち続けていただくために、報道と市民への情報提供をよろしくお願いしたい。

小野有五さん(北大名誉教授、北星学園大特任教授)
肩書きは北大名誉教授だが、現在、北星学園大で教えている。設立趣意書にもあるように、上田さんからも話があったように、植村さんは北星学園大学で非常勤講師をして、大変いい教育をされていたのだが、それに対して、非常勤講師の職を延長するなという大変ひどい脅迫があり、それは植村さんひとりではなく北星学園大学全体に対する脅迫でもあった。
教育の現場に対して、暴力で脅迫することはあってはならない。この問題は解決したといっても、いまだに根は続いている。それが今回の裁判のもとになっている、植村さんを依然として捏造記者ときめつけて、バッシングする動きがやはりずっと続いている。札幌市内でもヘイトスピーチがいろいろな場で行われている。
北星学園大学に対する脅迫が具体的な形をとったのが札幌という町だ。札幌市民として、この問題を、これで終わらせてはいけない。ずっとこれを考えて、なんとか植村さんを守るとともに、こういう問題を少しでも解決したい。ひとりでも多くの市民が支援する。いろいろな支援があると思う。こういう問題に関心をもってくださって、応援する動きをつくっていけたらと思う。

神沼公三郎さん(北大名誉教授)
私はマケルナ会の呼びかけ人の一人だ。いきさつは、これまでのおふたりの発言につきている。北星大がんばれという運動とともに、植村さんが捏造記者というジャーナリストとして決定的な汚名をきせられているため、司法の場で争うという手続きをなさった。裁判でぜひ勝利してほしいということで、共同代表の一人として名前をつらねた。
裁判を闘って勝つことの意義は、ひとことでいうと、日本の民主主義、表現の自由が大きく関わっている。裁判を始めるからには負けるわけにはいかない。微力ながら力を注ぎたい。記者のみなさんの客観的な報道を切にお願いする。

結城洋一郎さん(小樽商大名誉教授、憲法学者)
私も神沼先生と同じように、最初は北星学園大学への脅迫に対する運動から関わることになった。植村さん本人、ご家族、大学、職場に対する脅迫が許されないのは言うまでもないことだが、今回は、そのような脅迫を誘発している人の責任というものが問題になるだろうと思っている。
捏造というレッテル貼りは、果たして正当な言論活動の範囲内にあるのかどうか。名誉毀損を構成しないのかどうかということについて、発言者としてどう思っているのかは、裁判のなかできっと語られるだろう。社会全体が正当な表現活動のあり方を、この裁判を通じて考えるきっかけにしてほしい。
植村さんに対しで行われた脅迫についてのご本人(被告)たちの考えを聞いておく必要があるだろう。
そういうことを通じて、言論界で生きる者の責任が語られ、判断され、一般国民のなかにそうした理解が広まるということが、今後の民主主義、表現の自由に対して、非常に大きな意義がある。報道機関のみなさんも、この事件をよく報道され、国民に情報を提供していただければと思う。