2019年8月26日月曜日

東京の期日が決定!

東京訴訟第1回口頭弁論
10月29日(火)午前10時30分
東京高裁101号法廷

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札幌訴訟第3回口頭弁論※結審
10月10日(木)午後2時30分
札幌高裁805号法廷

2019年8月25日日曜日

またやった櫻井さん


ジャーナリストの櫻井よしこ氏(以下敬称略)が、「文藝春秋」9月号で、事実をひどく歪めた記事を書いています。「慰安婦『贖罪』が韓国に利用された」という記事の後半です(注1)。「慰安婦とも思われる」日本人女性が満州で日本軍の諜報活動を「命がけで手伝った」ことを紹介し、「懸命に生きた日本人慰安婦」がいたことを知っておきたい、と書いているのです。櫻井は、この女性のことは石光真清(敬称略、以下石光)という陸軍少佐の自著に明かされている、とも書いています。石光は日露戦争の頃の陸軍情報将校です。

えっ、慰安婦は日露戦争の頃にもいたのですか!?
慰安婦が軍務に関わっていた! そんなことができたのだろうか? 

詳しいことを知りたくなり、石光の著書「曠野の花」注2)にあたってみました。その結果、石光が書いたことと櫻井の記事との間に大きな食い違いがあることが分かりました。


櫻井の記事を以下に引用します。太字強調部が、食い違う部分です。


満州で諜報員として活動した陸軍少佐の石光真清は、自著のなかで慰安婦とも思われる日本人女性との交流を明かしています。石光はある時、満州でその日本人女性と出会います。その後、女性は命がけで石光の諜報活動を手伝うことになりました。石光は彼女を日本に帰国させる際、「真面目なお百姓さんと結婚しろ。良い家庭が築けたら一度だけ葉書を送ってくれ」と、大金を渡したのです。
彼女は、実際に真面目な農家の人と結婚して家庭を築き、石光に無事を伝える葉書を送ってきたということです。


どのように食い違うのか。「曠野の花」の記述と照合してみます。


慰安婦とも思われる この女性は慰安婦ではありません。

この女性(お花さんといいます)が生い立ちを独白する個所は次の通りです。宋紀とあるのは、彼女を妻とした満洲馬賊の親分の名前です。

「私という女は生まれ落ちた時から、人の親切とか愛情とかをまるで知らないで育ちました。つまらない身の上話をするのもいやですが、長崎の在に生まれて、男の子と喧嘩しながら育って、物心のついた頃詐されて(だまされて)大陸に渡りました。それから宋紀に拾われるまでの数年は、そこらにいる女郎衆と同じ他愛ない生活を続けていました」(同書p218-9)。

同書には「慰安婦」という記述は1カ所もありません。芸妓や酌婦などの記述もなく、女郎と書かれています。なぜ「慰安婦」がないかというと、石光が陸軍大尉の身分を隠し私費留学生として満州に入ったのは日露戦争開戦前の1900(明治32)年だったからです。つまりここに書かれているのは日露戦争前後のことなのです。
櫻井は「慰安婦とも思われる」と断定を避けています。その理由はわかりませんが、とにかく、櫻井が拠り所としている「石光の自著」には「慰安婦と思わせる」記述は皆無です。当然です。
ちなみに、日本軍慰安所が初めて上海に開設されたのは、石光が満州に渡ってから32年後のことでした。慰安婦問題の必読書「従軍慰安婦」(岩波新書)と同じく新刊「買春する帝国」(岩波書店=ともに吉見義明著)にもあたってみましたが、日露戦争前後の慰安婦の存在についての記述はまったくなく、石光真清への言及もありませんでした。

命がけで お花さんが一時期消息不明になったのは、石光と暮らす前、彼女が夫とともにロシア軍の馬賊掃討作戦に遭遇した時だけでした。危険な場面を何度もくぐり抜けたのは石光本人のほうです。石光の諜報活動を手伝ったのは確かですが、側面での援助協力という程度でした。

「明治三十三年の八月、偶然呼蘭の客桟で花子に会偶し、何だか妙な関係になり、丁度一年を夢の様に経過してしまった。此一年間を前後を通じて、二ヶ月も同棲したろうか。真清は南船北馬、席温まる暇なき迄に旅行斗り続け、花子は全くの留守居役、而して此留守中、真清の意中を充分に吞み込み、随分仕事の上に役に立った。追想して見れば、是れも運命の神の悪戯だろう」(同書p440、呼蘭はハルビン近くの町の名、客桟は旅館のことでお花さんはそこの女将をしていた)


「真面目なお百姓さんと結婚しろ。良い家庭が築けたら一度だけ葉書を送ってくれ」 とは言っていません。「曠野の花」ではこうなっています。

「平和な家庭を持て、謀叛気を起してはならぬぞ。よいか。家庭を持って落着いたら、お前の親か兄弟から、一度だけ僕に知らせてくれ。それだけでよい」(同書p331)

お百姓さんは、櫻井の創作です。石光は謀叛気を戒め、諜報活動の内容が漏れることを警戒していたのです。


大金を渡した 大金は4500円の現金でしたが、石光が渡した金ではなく、お花さんが自分で経営していた洗濯屋で貯めた金と権利譲渡金でした。櫻井は慰安婦は高給取りだったと言いたいようですが。

「「貯金はいくら出来たね」

「お陰様で二千五百円ばかり出来ました」

「へえ……二千五百円、よく繁盛したものだね」

洗濯屋の譲渡金その他を合わせれば四千五百円になる。シベリアに売られた女で、病気にもならずに四千五百円の現金を持って帰れば、幸せな女だと思って良いであろう」(同書p310)


実際に真面目な農家の人と結婚して家庭を築き、石光に無事を伝える葉書を送ってきた 櫻井流創作はとどまるところを知らず。葉書などは届いていません。
「花子は帰国後どうなったか、全く音信不通だったが、大正四年の秋、或る人の話に、今は或る農家に嫁入り、堅気に気楽に世を送って居ると云う事だった。(同書p444)


以上のように、櫻井の引用は出典とは大きく食い違っています。
大筋では違っていないのだからいいではないか、という声も櫻井ファンから聞こえてきそうですが、ふたつの点で見過ごすわけにはいきません。

まず、慰安婦をテーマにした記事の中で、慰安婦ではない女性を引き合いにしていることです。日本軍に協力したことを善行とし、慰安婦イメージを美化しようという作為的意図が感じられます。そこまでして、戦時性暴力被害と女性の人権侵害を否定したいのですかね。(注3)

もうひとつは、記憶や思い込みだけで書いていることが明らかになったことです。どんなにすぐれたジャーナリストでも、加齢によって記憶力はどんどん低下します。櫻井は73歳です。だからこそ、いや、老いようと若かろうと、出典にきちんと当たる作業は必須ではないですか。

櫻井の取材や調査、確認作業が杜撰なことは、植村裁判の法廷で明らかになり、業界ではすっかり有名になっています。今回もそれがみごとに可視化されてしまいました。
太字強調部の照合をもう一度、一般読者の普通の読み方で読み直してみて下さい。櫻井はファクトを誤り(前提事実)、それによって書いたこと(摘示事実)は、真実ではない(真実性)、もしくは真実であると信じるに足る理由がない(真実相当性)。賢明な裁判官ならずとも、そう判断するはずです。
text by 北風三太郎(月刊「文藝春秋」の一読者)



注1 この記事は「日韓炎上~文在寅政権が敵国になる日」と題した5本立て大特集の中の1本。特集の構成(見出しと筆者)は次の通り。まるで韓国への宣戦布告! 嫌韓を煽ることhanadaかWillのごとし。櫻井記事の前半には朝日新聞への金太郎飴的非難も書かれているが、ここでは触れない。


日韓基本条約を踏みにじる「歴史の恨」(黒田勝弘)

慰安婦「贖罪」が韓国に利用された(櫻井よしこ)

徴用工判決は「李氏朝鮮」への回帰である(宮家邦彦)

文在寅ひきこもり大統領の危ない戦略(牧野愛博)

日米合同演習「脅威国」は韓国(麻生幾)


注2 石光真清は膨大な手記を残しており、単行本は「手記四部作」として1942年と58年に刊行されている。じっさいの筆者は子息の石光真人。手記と称してはいるが、内容は虚実がないまぜになった自伝読みもの風小説といっていい。満州での活動は「曠野の花」に詳しく書かれている。現在読むことができるのは中公文庫版で、1978年に初版、2017年12月に改版が発行された。

注3 櫻井のこの記事はPRサイト「文春オンライン」にもアップされている。
櫻井の署名記事ではなく、編集部による記事体裁をとり、櫻井の主張は談話形式で強調されている。月刊本紙にはない記述も加えられ、見出しも「韓国よ、日本人慰安婦の存在も忘れるな」~櫻井よしこが語る慰安所の真実~「多くは朝鮮の女性ではなく日本人でした」と、より強い表現になっている。SNSでは、櫻井への批判が拡散している。その一部を紹介する。同一人の複数投稿は一本化し、読みやすくした。

例によって、日本人「慰安婦」多数説を開陳した上、石光真清が満州で「慰安婦」と会っていたという珍説を披露。これは、石光の「曠野の花」の中に出てくるエピソードだが、日露戦争の前の話。石光がハルピンで写真館を経営しつつ、スパイとして活動していた時期の話で、「慰安婦」が石光の情報収集を手伝ったと言う話(P292P294)だが、この時代に「慰安婦」がいるわけもないから、この女性は、倉橋正直氏の言う「北のからゆきさん」にあたる。倉橋氏の本を読まなくとも、北に向かった「からゆきさん」の話は、森崎和江の「からゆきさん」にも、大きく取り上げられているので、こちらも参考にして下さい。

·秦郁彦が取材したのは、料亭の中居さんであって、売春をしていた人ではない。 櫻井は『慰安婦と戦場の性』さえまともに読んでないない。秦が、「私としては民族別比率は日本人(内地人、沖縄含む)で、現地人がそれに次ぎ、朝鮮人は第3位と推定したい」とあいまいに、おずおず書いてたものを、いつの間にか「断定」しちゃうウヨクな面々。

·▼もし本当に櫻井よしこたちが日本人「慰安婦」のことを想っているというなら、日本会議として「日本人慰安婦恩給法」でもつくり、名乗り出をエンカレッジする運動をすればよかったんですよ。軍従属者だったんだから。でもしないでしょ?

·▼日本人慰安婦の話を持ち出されても「大日本帝国は、国内外に被害をもたらしたのですね」で話は終わりですが、両国間に意図的な差異を発生させることで、日本の罪を軽減する作戦なのですね。 かつて小林某が「ソ連兵に暴行されても訴えなかった日本の女性を誇りに思う」と書いたことを思い出します。
今度は「文藝春秋」の韓国ヘイト。しかも、極右の櫻井よしこに書かせている。櫻井よしこを起用した時点で、この記事はフェイクですと自ら証明しているのと同じ。
すごい発言ですね。 こんなことを発言するのは異常過ぎますが、仮に心の中だけのこととしても、少なくともお前が「誇る」ことじゃないだろ! と小一時間ツッコミたいですね。

2019年8月23日金曜日

「標的」公開に向け


映画「標的」支援クラウドファンディング(CF)について、同映画の監督でありCFの起案者でもある西嶋真司さんから、報告とお礼のメッセージが寄せられました。



皆さま

ドキュメンタリー映画「標的」のクラウドファンディングが22日に締め切られました。当初の目標額を大きく上回る470万円あまりの支援が全国から寄せられました。現金書留で送られたものが未集計ですので、最終的な金額が分かるのは数日先になると思います。これも皆さまの力強い応援があったからこその結果だと思います。本当にありがとうございました。

多くの支援金が集まったことで映画を配給してくれる会社も決まりました。毎年、数多くのドキュメンタリー映画や自主制作映画が製作されますが、配給会社がつくのは、むしろ稀なケースです。全国公開に向けての頼もしい援軍を得ることができました。今後は植村裁判を支える市民の会の方々とともに「標的製作委員会」を立ち上げ、もし映画公開後に興行収入があれば(狸の皮算用で申し訳ありませんが)製作委員会を通して裁判支援のための活動資金に還元できる仕組みを構築したいと考えています。

これまで皆さま方から寄せられたご支援に恥じないよう中身のあるドキュメンタリー映画に仕上げ、現在の日本で起きている言論へのバッシングが如何に不当なものであるのかを一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。これからも引き続きご支援とご指導をお願いいたします。
 
2019年8月23日
西嶋真司(ドキュメント・アジア)





2019年8月22日木曜日

きょう「標的」締切

植村隆さんに密着して闘いの日々を描いたドキュメンタリー映画「標的」(西嶋真司監督)の制作を支援するクラウドファンディングがきょう(8月22日午後11時59分)締め切られます。すでに目標額は超えていますが、最後の1日、追い込みと積み上げをよろしくお願いします。

支援者320
 残り期間
集まっている金額
4,535,730
目標金額:3,000,000
達成率151%

2019年8月17日土曜日

「不自由展」その後


「従軍慰安婦はデマ」というデマ

あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が中止になって2週間が経過しました。同展を中止に追い込んだ抗議や脅迫の動きと政治家たちの発言によってまたぞろ噴き出した「慰安婦問題はデマ」というデマは、SNSやテレビのワイドショーで広がりつづけています。

デマを流している人たちの中には、「3年に1回」開催のあいちトリエンナーレを「毎年」楽しみにしているという人たち(※1)や、プロパガンダをプロパンダという人たち(※2)のほか、韓国徴用工賠償訴訟を抱える日本の大企業の顧問を務めていた外交評論家()などもいて、慰安婦問題と日韓貿易紛争をネタに、真夏の入道雲か夕立の中、雲霞のごとくに入り乱れて嫌韓を煽る様相となっています。心が寒くなる風景です。
この人たちに共通しているのは、学者や専門家が長年地道に積み上げてきた研究成果を無視し、歴史的にも国際的にも定着した事実を否定し、そして自分たちの意に添わぬ人たちに問答無用の悪罵を投げつける態度です。「少女像は日本人の心を踏みにじる」などと発言した河村たかし名古屋市長などはその典型でしょう。

そのような動きに抗する人たちが声をあげています。「表現の不自由展・その後」の開催を支持し、再開を求める団体や有志グループはこれまでに49本の声明やアピール、署名呼びかけを発表しています(17日現在=)。学者、研究者が呼応する動きと反響も広がっています。
従軍慰安婦研究の第一人者である吉見義明・中央大学名誉教授は、毎日新聞のインタビューで「負の過去は見ない、事実と向き合わないことこそ日本を貶める行為だ」と語っています()。社会学者の牟田和恵・大阪大学教授は、WEBサイトwanで、少女像への攻撃を性暴力被害者への逆切れ攻撃ととらえ、それは性暴力を許容し加害を正当化しようとする日本の「文化」と地続きだ、と指摘しています()。ニュースブログ「サイゾーウーマン」は、「今さら聞けない慰安婦問題の基本を研究者に聞く」シリーズを8月7日に開始しました。その第1回には歴史学者の林博史・関東学院大学教授が登場し、「なぜ何度も謝罪しているのに火種となるのか」という疑問にわかりやすく答えています()。
updated:2019/8/19 am9:30
  
=HARBOR BUSINESS Online 2019.8.12 より
=玖保樹鈴氏のつぶやき 2019.8.12 より
=元外交官の武藤正敏氏。2010~12年韓国大使、13~17年三菱重工業株式会社顧問。著書に「韓国人に生まれなくてよかった」「文在寅という災厄」「真っ赤な韓国」など。外交経済評論家としてテレビ番組に年間約100本出演(昨年)。プロフィルはこちらを参照
=女たちの戦争と平和資料館wam 2019.8.17 のサイトによる
=毎日新聞デジタル版 2019.8.15
 この記事は有料のため、その一部のみ下に引用します。
=女性と女性の活動をつなぐポータルサイト 2019.8.4
=ニュースブログ「サイゾーウーマン」 2019.8.7


「従軍慰安婦はデマ」というデマ
 歴史学者 吉見義明氏に聞く

毎日新聞デジタル版の連載「表現の不自由考」2019.8.15 より

(引用開始)

驚きました。大阪市の松井一郎市長のことです。「慰安婦問題は完全なデマなんだから。軍が関与して強制連行はなかったわけだから。それは一報を報じた朝日新聞自体が誤報と謝罪しているわけだから」(5日、記者団に)と発言しました。名古屋市の河村たかし市長も「強制連行し、アジア各地の女性を連れ去ったというのは事実と違う」(5日、記者会見)と言っている。
事実認識が間違っているし、従軍慰安婦問題とは何か、分かっているとは思えない発言です。

朝日新聞が2014年に「誤報」としたのは、戦時中の労使組織「労務報国会」の職員だった吉田清治氏(00年死去)の「軍隊とともに朝鮮(現韓国)の済州島で慰安婦狩りをした」という証言に基づく報道のみです。
私自身、慰安婦の徴募などへの日本軍の深い関与を史料で裏付けた1992年の「従軍慰安婦資料集」(大月書店)の解説でも、95年の「従軍慰安婦」(岩波新書)でも、最初から吉田証言は採用していません。一部の誤りを取り上げ、慰安婦問題全体をもなかったことにするのは、歴史修正主義者の典型的な言説です。

(中略)
私は強制連行の有無など、女性はどのようにやって来たのかということは副次的な問題で、核心は女性が「性的奴隷」としか呼べない状況に置かれたことだと思います。なぜなら、軍の慰安所規定や元慰安婦の証言などから、慰安婦には少なくとも「四つの自由」がなかったことが明らかだからです。

まず「外出の自由」です。慰安婦は軍の監視下に置かれ、許可がなければ外出できませんでした。逃亡を防ぐため、許可を得て外出できても監視役がついていた。許可がなければ外出すらできないのを「自由があった」とは言いません。
二つ目は「居住の自由」です。女性たちは慰安所の中で生活しなければなりませんでした。
三つ目は「廃業の自由」です。契約年限を終えるか前借金の返済を終えるまで、やめたくてもやめられなかった。さらに軍と業者の廃業許可も必要でした。軍が許可せず、慰安所に留め置かれたケースもあります。
最後は「拒否の自由」。元慰安婦は、兵士との性行為を拒否できませんでした。拒めば兵士や業者に暴力を振るわれることになる。言うまでもなく、性行為の強要は強制性交(強姦)です。

以上はどれも基本的人権に関わる自由ですが、これらが奪われていたのです。奴隷状態と言わざるを得ません。付言すれば、慰安婦には強制的な性病検査がありました。これも女性の人権を侵害するものです。

(中略)
慰安婦問題とは、強制連行があったかどうかとかいう問題ではなく、日本軍が女性の自由を奪い、性行為を強制したという女性の人権問題そのものなのです。だから世界の人たちが厳しい目を向けているんです。
こうしたことを言うと「反日」「日本人をおとしめるな」などという言葉を投げられます。これは逆ではないでしょうか。負の過去は見ない、事実と向き合わないことこそ、日本をおとしめる行為だと確信しています。
事実を見つめ、反省すべきは反省し、近隣諸国と深い信頼関係を築くことこそが、私たちのためになる。だから私は研究を続けているんです。

(引用終わり)

写真=毎日新聞デジタル版

2019年8月9日金曜日

マケルナ会有志声明

元「負けるな北星!の会」の有志多数が、8月8日、あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」の再開を求めるメッセージを発表しました。
今回の展示を中止に追い込んだ得体の知れない人たちの暴力的バッシングは、5年前に北星学園大学と植村隆さんに加えられた攻撃と相似形であり座視できない。このような暴力に屈することは社会の自由な表現・言論空間の萎縮につながる。実行委員会は、暴力に屈しない姿勢を示し、展示の再開に踏み切っていただきたい――とメッセージは訴えています。


今からでも遅くはない「不自由展」再開を!!

民主主義の破壊を許せない-北の地から送るメッセージ

2019年8月8日

元「負けるな北星!の会」(札幌)有志
伊藤誠一(弁護士)、
結城洋一郎(小樽商大名誉教授)、
七尾寿子(植村裁判を支える市民の会事務局長)ほ

今からちょうど5年前の2014年夏、札幌にある北星学園大学は、得体の知れない人々からの電話・メール・ファクスによる激しい非難と攻撃にさらされていました。標的となったのは、非常勤講師を当時務めていた元朝日新聞記者の植村隆さん。大半は「国賊・売国奴の植村を辞めさせろ」という要求で、中には「大学を爆破する」「学生を痛めつける」といった脅迫もありました。植村さん個人も「娘を必ず殺す」と脅されました。大学は疲弊・動揺し、植村さんの雇い止めを決断しかけました。
この事態を民主主義の危機であると感じ取った札幌市内の公務員と元高校教師2人の訴えをきっかけに多くの札幌市民、有識者が立ち上がり、「負けるな北星!の会」が結成されました。支援の輪は全国・海外に広がり、1457の個人・団体が賛同人・団体として名前を連ねました。その結果、大学は植村さんの雇い止めを断念し、雇用を継続しました。
大学が攻撃された理由は、植村さんが朝日新聞記者として1991年に書いた元日本軍慰安婦の記事にあります。著名なジャーナリストである櫻井よしこ氏らが根拠もなく「記事は捏造」と植村さんを非難したことが、日本社会の底流に蠢いている不気味な暴力装置を起動させました。
今回、あいちトリエンナーレ企画展「表現の不自由展・その後」が突然の中止に追い込まれた経緯について、私たちは札幌の地で5年前に起きた北星学園大学・植村バッシングとの驚くべき相似形を見る思いがします。ただし、結果は異なります。暴力的バッシングに嬉々として参加する得体の知れない人々に対し、植村さんの雇用を大学と私たちが守ることによって、私たちは「成功体験」を与えませんでした。一方で、これらのことが櫻井氏らを名誉棄損で訴える植村さんのエネルギーとなり、その裁判闘争を支える「市民の会」につながっています。
「展示会中止」の現段階においては、残念ながら得体の知れない人々は「快哉」を叫んでいることでしょう。この種の成功体験が重ねられるほど、社会の自由な言論・表現空間は萎縮し、日本の民主主義の基盤は脆弱になります。そして、次の標的探しに向かうのです。
であればこそ、私たちは今回、名古屋で起きたこの問題を座視できません。決して他人事ではないのです。いまからでも遅くありません。展示の再開に踏み切っていただきたい。暴力には屈しない姿勢を示していただきたい。そのために必要な万全の体制を関係機関が連携し、構築していただきたい。私たちは強くそれを望み、札幌の地から連帯のメッセージを送ります。「負けるな!あいちトリエンナーレ実行委員会」                  
メッセージPDFはこちら


地元愛知県をはじめ全国各地で、展示中止に抗議し再開を求める声と運動が広がっています。その動きをフォローしているサイトを紹介します。
表現の不自由展・その後」の再開をもとめる愛知県民の会
女たちの戦争と平和資料館wam 

2019年8月5日月曜日

「少女像」への脅迫


あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が中止されたことについて、ネット上で多数の意見が飛び交っています。主催者側にテロ予告や脅迫を加えた右派勢力の卑劣な言動への追及糾弾とともに、脅迫行為を誘う発言をした名古屋市長への批判や、警察の警備警戒措置は十分だったのか、との疑問の声が目立ちます。
以下に、主にTwitterで「あいちトリエンナーレ」「少女像」「慰安婦」「表現の不自由」「展示」をキーワードとして検索した結果の一部を、順不同で掲載します。氏名と@ツイッターアカウントは、肩書を略し、表示通りに掲載します。

踏みにじられた「歴史の真実」! 表現者を守らない国際芸術祭! 警察と行政には暴力に屈しない責任がある!


あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」ですが、資料コーナーの年表に新たな検閲事件が加わりました。言わずとしれた、今回の中止措置です。 いま同じ実行委員の方が展示室のなかでがんばっており、その人から送られてきた写真です。アライ=ヒロユキ@arai_hiroyuki 



海外でテロがあったり、邦人が誘拐されたりした時には、「テロリストの脅しには屈しない!」と散々言ってるんだから、あいちトリエンナーレの脅迫に対しても、政府は同じ態度を取ったらどうか? 平野啓一郎 @hiranok

あいちトリエンナーレに対して「(慰安婦像を)撤去しなければガソリン」などと脅迫するような輩を排除するために政府は共謀罪の適用を検討したのではなかったのか?仲間だから、例外というのはありえない。島田雅彦 @SdaMhiko

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」は、中止してはいけなかった。テロ予告や脅迫は犯罪だ。警察は犯人を捕まえろ。正当な表現の自由を守るために、警察はアベ首相の選挙演説と同じくらいの警戒措置をとるべきだった。誰のための警察なのだ? 前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民) @brahmslover

中止を決めたあいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」。またひとつ「表現の不自由」の悪しき前例を生んでしまった。暴力に屈して、公正を守らなかった。脅迫者を威力業務妨害で匿名のまま訴えるべきだ。 上野千鶴子 @ueno_wan

ネトウヨの卑劣な抗議に屈してはならない、やつらに成功体験を与えるだけだ、なんてあの津田大介さんがわかってないはずないじゃん。 その津田さんが結果的には屈してるんだよ? それくらい官民一体の抗議というか攻撃、脅しが凄まじかったということでしょ。■津田さんは全体の監督ですから、電話対応スタッフや会場係員などの安全に配慮する義務もあり、断腸の思いでの決定だったと思います。一方的に悪いのは卑劣な脅迫をほのめかした抗議者です。■ここで安倍総理が登場して、「芸術は芸術だ。政治の介入があってはならない。雑音は気にせず開催を続けなさい。私の責任で警備を強化します」と言ってくれたら、私は安倍政権の熱烈支持者になります。今回のことはそれくらい社会や国にとって決定的な問題だから。■私の複数の講演会への妨害予告でも、警察は「予告だけでは動けない」「会場で大きな声で意見言う人がいても暴力なければ表現の自由」「会場に私服警官が言ってその場で明らかな暴力あればその時点で動く」と言うばかりでした。香山リカ @rkayama

あいちトリエンナーレに対する河村たかしのような政治家によるの中止申し入れや、政府の補助金検討だとかの上からの脅しと、市井の匿名脅迫者の連携、というパターンは、海外の「慰安婦」碑や像をめぐって何度となく繰り返されてきたことでもある。それが今回、明白にひどい形で日本でも起きたと。山口智美 @yamtom

リベラルに告ぐ。この件で「表現の自由」を訴えてはならない。 「表現の自由」を言うなら右翼の抗議も「表現の自由」の名で容認されなければならないからだ(脅迫のような犯罪は除く)。 我々が掲げるべき旗は「真実と正義」である。このツイートが一万リツイートくらいされない日本だったら即亡命だね。ほんと。■この件、問題の本質は「表現の自由」ではない。戦時性暴力という歴史の真実が右翼の暴力によって踏みにじられたことこそ問題の本質だ。 「表現の自由」を言うなら、デマやヘイトスピーチにも「表現の自由」を与えなければならなくなる。 日本人に欠けているのは、慰安婦問題に代表される「不都合な真実」に正面から向き合う誠実さである。この事件は、日本人が世界に示すべき誠実さと逆の内容を世界に示した。 日本人は真実から目を背け、正義を行えない民族だ。この事件が示したのはそのことである。神原元 @kambara7

ヘイトデモを守るように愛知トリエンナーレを警察は守れないのだろうか。矢部真太 @shintayabe_257 


どれほど抗議の声が大きくても、ヘイトデモはとんでもない警備を付けて強行させるのにね。れっどゴルゴ@RedGolgo

「慰安婦像の展示中止だけではなく「表現の不自由展・その後」自体を閉鎖」するよう文化庁・愛知県知事などに抗議を集中させることをよびかける右派運動団体が発信したメールを見た。「あいちトリエンナーレ」全体への文化庁援助金約7800万円が、同展にのみ援助されたかに書いていて、デマで煽るしくみ。早川タダノリ @hayakawa2600

#あいちトリエンナーレ の件。「日韓関係が緊張している時にやらなくても」という意見を目にした。 その緊張関係を作ったのは政治であり、責任を負うべきも政治だ。 芸術が政治の尻拭いをする必要は全くない。政治家の仕事は展示中止要請ではない。緊張緩和と表現の自由を守るために動くことだ。働け。 畠山理仁 @hatakezo

赤報隊、長崎市長襲撃、朝鮮学校作品展弾圧、香山リカ講演会中止事件など、本邦での前例は枚挙にいとまがないが、政府高官まで犬笛政治に参加して暴力を扇動したという点では、2014年の北星学園大学脅迫事件によく類似する。これもやはり日本軍性奴隷にまつわる事件。手塚空 @aibery

封鎖された空間の前に、 「公権力によって、表現の不自由が行われた場所」 と立て看板でも張り紙でもしてやるべき。kmokmos@選挙に行こう!政治を普段から語ろう! @krtbk_kmos

安倍首相にヤジっただけで、抗議者を連行していく警察ですが、テロ予告にはまるで無力ですねー。東京オリパラもテロ予告があったら中止するんですかねー。■2020年の #東京五輪 を目前に、FAX1枚の脅迫に屈し、テロ予告犯に全面降伏することを世界に宣言した日本すごい! 志葉玲 @reishiva

あいちトリエンナーレ・表現の不自由展には、表現が規制された出来事を書いた年表があったんだけど、二段に渡るその年表が、2011年の311以降からめちゃめちゃ多くなってて、8割以上くらいを占めててなんともいえない気持ちになってしまった。 西森路代 @mijiyooon

戦時性暴力の被害少女の気持ちを、なぜ日本へのヘイトと受け止め撤去させようとするのか。性暴力の被害女性の告発を、なぜ女性の奸計と受け止め黙らせようとするのか。その根っこは同じではないのか。兎@Rbrbtz

アウシュビッツの展示に税金を使うなんて自国ヘイトだ!と抗議するドイツ人がどれだけいるか。 国としての品格はこういうところで歴然。鰯(不屈のスイミー)@sardinian1979

河村たかし名古屋市長が、安倍晋三首相らと共に「南京虐殺否定論者である」という「事実」を追記するだけで、あいちトリエンナーレの「少女像撤去要求」という行動が違った文脈で見えてくるだろう。逆に言えば、そこに触れなければ彼の政治的行動の背景は理解できない。メディアの気概も問われている。山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ワタシね、あんまりツイートしてないけどあいちトリエンナーレのこと、とても怖いと思ってる。実は政治の極右化をとても恐れている。 いつか、障がい者の自分は、粛清されてしまうのかもって。とても怖いんだ。Helixmakimaki @helixmakimaki

#あいちトリエンナーレ で「平和の少女像」について知った人はショックだったかもですが、おいらが住む東大阪市はグレンデール市と、大阪市はサンフランシスコ市とこの像に関係して姉妹都市解消などいろいろあったので、さほど驚かない。それでも市民は交流を続けようと努力。人のつながりは切れない。李信恵@rinda0818

さまざま論点がありますが、日ごろ表現者を応援し、そして多くの人に表現を届ける仕事に関わっている身として、ただただ残念でなりません。 でも、だからこそ、これからもいろんな表現を応援していくよ。タラ夫 @2017babel

#あいちトリエンナーレ 「表現の不自由展・その後」に対する河村名古屋市長を中心とした権力的介入に強く抗議します。ANTIFA758 @Antifa758

あいちトリエンナーレの件で勘違いしちゃいけないのは、あの表現がいいものだから保護されるべきなのではなく、いいものだろうがクソなものだろうが保護されるべきなんだよ。だから「素晴らしい作品じゃないか。表現の自由を守れ!」ではなく、「クソな作品ばっかだな。表現の自由を守れ!」が正しい。中村剛 @take___five

脅しテロを報道すればするほど、今後「ガソリンまく」という脅しが多数やってくることは子供でも分かる常識であり、 知事の対応は正気を疑うレベルと、いわれてもしかたがない。情けない。■テロの専門家として一言:ガソリンをまくという脅しも、なんらかの対応が必要な逼迫性を感じない。ドゴール空港など爆破予告は毎日あるのが常識で、その脅しに具体的な内容があれば、おそらくただの脅しであることを確認して報道しないのが正しい対応とされている。 河合幹雄 @gandalfMikio

不自由展の中止ってさ、あれ、作家側からの視点でみたら 「運営側がわざわざ呼んで来きたから作品を展示したのに、批判が来た途端、守る責任を放棄して展示中止」 てなるけど、これって 「あいちトリエンナーレのクライアントは表現者を守らない」 っていう国際芸術祭としては最悪のプロモじゃね? リッド(川嶋信慶) @brains_rid

慰安婦だった女性の人権を踏みにじっているのは、過去の歴史に向き合っていない日本政府です。安倍首相を批判したぐらいで、警察が飛んできて排除する姿勢と根っこが一緒です。自由な表現を弾圧しないで下さい。少女の握りしめた手は平和な社会を一緒に作ろうという決意です。芸術はそれぞれの人が観て、感じるものです。大事な場を奪わないでください。「少女像」の展示を継続してください。樋口みな子 @sasaerukai

植村裁判を支援する市民の一人として、今回の展示中止には怒りを覚えます。中止に至るパターンが植村バッシングと同様に思える。それにしても、市民を守るはずの市長が攻撃の張本人とは全く驚きです。態勢を手直して展示を再開してください。石井一弘@sasaerukai

政府は「あいちトリエンナーレ」での卑劣なテロ予告に対して、大阪G20で展開したくらいの警備体制を発動したうえで展示の継続を後援しろや。安倍は口癖のように「テロには屈しない」と唱えているではないか。どころか不作為のまま事態を放置するなら、政権はテロリストとの「共犯関係」を疑われるぞ。 Tetsuya Kawamoto @xxcalmo

賛同します。 日本ペンクラブ声明あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示は続けられるべきである。 「いま行政がやるべきは、作品を通じて創作者と鑑賞者が意思を疎通する機会を確保し、公共の場として育てていくことである」 田崎 基@tasaki_kanagawa

作家の中沢けいさんスピーチ。きのうあいちトリエンナーレに行ってみて、あの空間、世界中からコスプレイヤーが集まっている場所では、完全な警備はムリ。悪いのは主催者じゃない。安倍晋三だ。それを言うためマイクを持った。太安萬侶 @onoyasumaro

あいちトリエンナーレ #表現の不自由展 は、右翼がガソリンで火をつけると脅迫したことで中止になった。これは確定した事実。河村たかしがこれを非難しないのであれば、共犯同様である。 C.R.A.C.  @cracjp

名古屋。あいちトリエンナーレ『表現の不自由展・その後』権力的介入・抗議行動。 ソウル・フラワー・ユニオン @soulflowerunion

 朝日新聞、よくこんな他人事みたいな記事が書けるな。あんたらの仕事に直接関わる問題なんだが。少女像頭に紙袋、怒鳴り声「表現の不自由展」最後の日:朝日新聞デジタル 時安邦治 @opalpanda

あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が開幕3日で展示中止に追い込まれことは、少女像の展示への脅迫・テロ予告は当会への攻撃と同質のものであると考えます。 こうした脅迫・ヘイトスピーチの暴力と、加えて憲法21条に違反する公権力の介入に強く抗議します。新日本婦人の会 @njwa_nakama

 「表現の不自由展・その後」の中止は、きわめて深刻な事件だ。テロ予告など脅迫が許されないことは当然だが、そうした脅迫から展示を守るべき行政の側が、展示を許さない態度をとったことは言語道断だ。自由に表現し、自由に鑑賞する。この当たり前の権利が侵害される「検閲国家」にしてはならない。志位和夫 @shiikazuo

表現の不自由展・その後」の中止に強く抗議する。大変深刻である。テロの予告、脅迫は大問題であるが、名古屋市長、菅官房長官の発言など表現の自由を理解しない発言に危惧を覚える。■戦争中に禁止された落語の演目の上演会を議員会館でやったことがある。禁演落語上演会。なぜこれが上演禁止なの?という演目。吉原、博打、間男などがダメになったと聞いた。憲法は表現の自由を規定。「表現の不自由展・その後」の中止は今の日本の表現の不自由、表現の自由がないことを端的に示した。福島みずほ @mizuhofukushima

#あいちトリエンナーレ 表現の不自由展の閉じた入り口に足を運びました。 自分の好みに反するものは潰そうとするネットの不寛容さを感じます。アート展の企画は、公の歴史記念館とは趣旨を異にするはず。 自分が好まないものは、力ずくで他者の閲覧の機会も奪う。そんな社会は危ないです。田島まいこ@maiko_tajima

表現の不自由展が3日間で中止に。まさに表現の不自由を表す結果になった。平和の少女像の存在は戦時性暴力の象徴であり、日本が向き合わなければならない過去だ。尾辻かな子 @otsujikanako

映画『主戦場』では、従軍慰安婦をめぐる歴史修正主義者の主張は、根拠がないことが、白日のもとにされ、異例のロングランになっています。スクリーンのうえでは勝負アリ。あいちトリエンナーレでは、脅しや圧力で、企画が封殺されましたが、歴史修正主義に未来はありません。押し返しましょう。 宮本徹 @miyamototooru

「表現の不自由展」中止へ。 →急遽、新幹線に飛び乗り会場へ。300人ほどの列で40分待っての入場。どの作品も観る意義るものでした。公権力による介入、ヘイトスピーチ、脅迫で私たちの国が、またひとつ不自由になった日。会期は10/14まで。安全確保のうえ、早期再開を。石川大我 @ishikawataiga

あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止されたという。展示作品に対する抗議の電話が殺到したためらしいが、なぜこんなことが起こるのか。芸術展で何が展示されようが自由だろう。全て何でもかんでも展示するのが良いとは言わないが、原則的に自由だろう。 逢坂誠二 @seiji_ohsaka  

#あいちトリエンナーレ の企画展「表現の不自由展・その後」が脅迫行為により、中止に追い込まれました。民主主義の基本である「表現の自由」が侵されることは誠に遺憾です。責任問題ではなく、強迫行為の是非が問われているのではないでしょうか。福山哲郎 @fuku_tetsu

河村市長は「従軍慰安婦制度はなかった」とはっきり主張してしまっている。 つまりこれは、単なるアート作品への弾圧を超えて、はっきりと日本の戦争の罪、アジアの多くの女性を苦しめた罪を見ない認めないという勢力の示威行動なのだ。 期せずして日本政府が韓国に貿易攻撃を仕掛けた日と同じ日の。 イシカワ(頑張らないし頑張れない) @ishikawakz

嫌がらせに屈して展示中止は良くない。 「安全確保の問題で中止」を認めたら、暴力的手段で公的催し物を潰せる事を認めたと同じ。 美術・表現、言論、スポーツ、外交・政治と分野は違っても本質は同一。 警察や行政は「絶対に違法な脅しや暴力に屈しない」重い責任がある。小野次郎@onojiro

前日まで来場者が出入りできた「表現の不自由展・その後」展示入口(写真12)。今日(4日)から、高さ約4mの仕切板で壁のように展示入口が「封鎖」(写真34)。しかし、中にある各展示物は撤去ではなく、原状のまま見られることを待ってます。この壁の方が撤去されて、「展示再開」となることを。午前2:51 · 201984日 WATAI Takeharu 綿井健陽 @wataitakeharu
写真1
写真2
写真3
写真4

※記事中の写真はすべてtwitterから転載しました

2019年8月4日日曜日

「少女像」展示中止

展示風景の一部。左が「平和の少女像」。隣の空席の椅子に観客が座り、
作品の一部となることが意図されている(写真=美術手帖.com)



8月1日に開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、テロ予告や脅迫を受け、3日、展示中止となりました。
▼同展を企画した実行委員5氏(アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三)は8月3日、声明を発表し、「歴史的暴挙と言わざるを得ない」「戦後日本最大の検閲事件となるだろう」と強く抗議しています。 =全文下記に掲載
▼日本ペンクラブ(吉岡忍会長)も同日、声明を発表し、河村・名古屋市長や菅官房長官のコメントが政治的圧力になった、このような発言は憲法21条に反する検閲につながることになる、と批判しています。 =全文下記に掲載
※展示内容については、「美術手帖com」headline2019.8.2に詳しい説明があります。
慰安婦問題の解決に取り組んでいる団体からも8月4日、抗議文、声明が発表されました。
▼「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター VAWW RAC)は、河村市長の発言「(少女像展示は)日本人の心を踏みにじる」について、「被害女性の人権と表現の自由を踏みにじっている」と批判し、主催者側に展示継続を求めています。 =全文下記に掲載
▼日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は、「展示中止は最悪の選択。犯罪は取り締まり、検閲は毅然としてはねのけるべき」と訴え、展示の即時再開を求めています。 =全文下記に掲載

update 2019/8/4 21:15
▼日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が、声明「「表現の不自由展」が続けられる社会を取り戻そう」を発表しました。 全文はこちら
▼大学教員、研究者、市民運動家ら有志グループが声明を発表し、「「表現の不自由展」及び《平和の碑》展示中止反対」の署名を呼びかけています。 全文はこちら



声明■企画展実行委

「表現の不自由展・その後」の一方的中止に抗議する

 あいちトリエンナーレ2019実行委員会会長の大村秀章知事と津田大介芸術監督が、「表現の不自由展・その後」を本日8月3日で展示中止と発表したことに対して、私たち「表現の不自由展・その後」実行委員会一同は強く反対し、抗議します。
本展は、ジャーナリストである津田大介芸術監督が2015年に私たちが開催した「表現の不自由展」を見て、あいちトリエンナーレ2019でぜひ「その後」したいという意欲的な呼びかけに共感し、企画・キュレーションを担ってきました。
今回、電話などで攻撃やハラスメントがあり、トリエンナーレ事務局が
苦悩されたことに、私たちも心を痛め、ともに打開策を模索してきました。しかし、開始からわずか3日で中止するとは到底信じられません。16組の参加作家のみなさん、そして企画趣旨に理解を示して下さる観客のみなさんに対する責任を、どのように考えての判断なのでしょうか。
今回の中止決定は、私たちに向けて一方的に通告されたものです。疑義があれば誠実に協議して解決を図るという契約書の趣旨にも反する行為です。
何より、圧力によって人々の目の前から消された表現を集めて現代日本の表現の不自由状況を考えるという企画を、その主催者が自ら弾圧するということは、歴史的暴挙と言わざるを得ません。戦後日本最大の検閲事件となるでしょう。
私たちは、あくまでも本展を会期末まで継続することを強く希望します。一方的な中止決定に対しては、法的対抗手段も検討していることを申し添えます。

201983

「表現の不自由展・その後」実行委員会
アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三


声明■日本ペンクラブ http://japanpen.or.jp/statement0803/

あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示は続けられるべきである

 制作者が自由に創作し、受け手もまた自由に鑑賞する。同感であれ、反発であれ、創作と鑑賞のあいだに意思を疎通し合う空間がなければ、芸術の意義は失われ、社会の推進力たる自由の気風も萎縮させてしまう。
あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」で展示された「平和の少女像」その他に対し、河村たかし名古屋市長が「(展示の)即刻中止」を求め、菅義偉内閣官房長官らが同展への補助金交付差し止めを示唆するコメントを発している。
行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法212項が禁じている「検閲」にもつながるものであることは言うまでもない。また、それ以上に、人類誕生以降、人間を人間たらしめ、社会の拡充に寄与してきた芸術の意義に無理解な言動と言わざるを得ない。
いま行政がやるべきは、作品を通じて創作者と鑑賞者が意思を疎通する機会を確保し、公共の場として育てていくことである。国内外ともに多事多難であればいっそう、短絡的な見方をこえて、多様な価値観を表現できる、あらたな公共性を築いていかなければならない。       

201983
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 吉岡 忍












抗議文■「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター

愛知県知事 大村秀章さま
あいちトリエンナーレ2019 芸術監督 津田大介 さま

〈平和の少女像〉展示中止に抗議し、展示の継続を求めます!

 〈平和の少女像〉(正式名称「平和の碑」、以下〈少女像〉)が、81日からはじまった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」で展示されました。これが報道されるや、抗議の電話が殺到したとされ、河村たかし名古屋市長が〈少女像〉の展示を「日本国民の心を踏みにじる行為」として展示中止を求めました。また、菅義偉官房長官も展示に関して補助金交付差し止めを示唆しました。8月3日、大村秀章愛知県知事と津田大介芸術監督がテロ予告や脅迫電話・メールが来たとして、〈少女像〉を含む企画展「表現の不自由展・その後」を一方的に中止すると通告しました。

以上のように、公然と「表現の自由」への政治介入が行われたのであり、憲法21条で禁止された「検閲」にほかなりません。まさに歴史的な暴挙です。また、卑劣なテロ予告や脅迫で展示中止になったとすれば、歴史修正主義者によって民主主義の根幹である「表現の自由」が奪われたことを意味します。

しかし、そもそも〈平和の少女像〉は、民衆芸術家であるキム夫妻によって、2011年に「「慰安婦」被害者の人権と名誉を回復するために在韓日本大使館前で20年間続いてきた水曜デモ1000回を記念し、当事者の意志と人権の闘いを称え継承する追悼碑として市民団体が構想し建てられた」もので、今や「戦争と性暴力をなくすための「記憶闘争」のシンボル」になりました(「平和の不自由展・その後」の説明から)。

つまり、〈平和の少女像〉は、戦争と性暴力被害のない、女性の人権が実現される平和な世界を願ってつくられた芸術作品です。これはジェンダー平等を核心的なテーマとする「あいちトリエンナーレ2019」の精神に合致するものです。

また、〈平和の少女像〉は、美術館のなかに芸術作品として展示されているのであって、日本政府の言うウィーン条約違反にもあたりません。河村市長の言う「日本国民の心を踏みにじる」という発言もお門違いです。河村市長が踏みにじったのは、被害女性の人権であり、表現の自由です。

日本に「表現の自由」があるのかを問い直す「表現の不自由展」で、行政の「検閲」そのものである〈少女像〉を含む芸術作品の展示中止を許してはならないと考えます。戦争と性暴力のない女性の人権が実現される平和な世界、そして「表現の自由」を求める私たちは、〈少女像〉と「表現の不自由展」展示の継続を求めます。

201984
 「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター VAWW RAC
運営委員一同


声明■日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 

「表現の不自由」を再び立証させていいのか!? 「表現の不自由展・その後」の即時再開を求める


81日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」がわずか3日で中止されることが発表されました。
「平和の少女像」の撤去を求める抗議電話やメール、河村たかし名古屋市長ら政治家たちの検閲発言、補助金交付差し止めを示唆した菅官房長官の圧力発言、そして「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」といった脅迫文に屈してこのような決定をしたことは、結局、この日本社会が「表現の不自由」な状況に陥っていることを世界に示す結果しかもたらしません。また、政治家の検閲や圧力に屈すること、犯罪的な脅迫文に屈することは、今後に累を及ぼす判断と言わざるをえません。これらを助長させないためには、犯罪に対しては取り締まり、検閲に対してははねのける、毅然とした対応を取る以外に方法はないと考えます。中止は最悪の選択です。

私たちは、このような決定を行った「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会会長の大村秀章知事及び津田大介芸術監督に対し、直ちにこの決定を撤回し、表現の自由とこの社会の民主主義を問う、本来素晴らしい趣旨の同展示を即刻再開させるよう求めます。

ところで、いずれも何らかの理由で過去に展覧会などで撤去された経緯のある作品ばかりを集めた企画展で、日本軍「慰安婦」被害者を表象した「平和の少女像」だけがターゲットになったことに、私たちは強い怒りと落胆を感じずにはいられません。他はともかく日本軍「慰安婦」制度という戦争犯罪についてだけは絶対に認めたくないという強い意思が示されたものと考えざるをえないからです。

アジア各国の日本軍「慰安婦」被害者たちは、日本が事実を認め、再発防止のための教育と記憶・継承をたゆまず続けて行くことを訴えてきました。「平和の少女像」も、そのような被害者たちの願いを反映して、被害者を追悼し記憶・継承するために製作されたものです。日本政府と日本の市民こそが、その趣旨を最もよく理解し、尊重し、世界と共に守って行こうとした時にはじめて、被害者たちの赦しを得ることができるのに、政治家をはじめとする一部の人々が再び真逆の言動をとって、その本心をさらけ出してしまいました。

「日本人の心を踏みにじる」(河村たかし市長)、「日本で公金を投入しながら、我々の先祖がけだもの的に取り扱われるような展示物を展示されるのは違うのではないか」(松井一郎・大阪市長)といった倒錯した「被害者意識」は、加害の歴史を直視せず反省もしていないことを示すもので、これこそが世界に対して日本の「不名誉」となる発言に他なりません。

日本政府と日本の市民に求められているものは、事実を直視し、事実を深く学び、これを記憶し継承することによって、再発を防止する取り組みを率先して行うことだということを、この機に改めて強く訴えます。

201984
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
共同代表     梁澄子 柴洋子