2020年3月3日火曜日

update 2020/3/3 pm9:25
update 2020/3/4 pm10:45


高裁前抗議行動の動画は こちら 
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速報! 東京高裁 西岡力、文春を免責
植村隆氏の控訴を全面的に棄却
またも不当判決
植村裁判 東京訴訟控訴審

判決言い渡しは3月3日午後2時から東京高裁であり、白石史子裁判長は、西岡力氏と文藝春秋を免責した一審判決を支持し、植村隆氏の控訴をすべて棄却した。

101号法廷の弁護団席には、植村氏側は15人が着席、西岡・文春側は喜田村洋一弁護士ひとりで、西岡氏は今回も出席しなかった。傍聴席最前列には、作家の北原みのりさん、ジャーナリストの伊藤詩織さん、安田浩一さんが座った。新聞労連委員長の南彰さんやジャーナリストの江川紹子さん、ピアニストの崔善愛さんの姿もあった。定員95の一般傍聴席には70人が着席した(開廷前の傍聴抽選には47人が並んだが、抽選はなかった)。集まりが少なかったのは、折からの新型肺炎流行の影響だろう。


白石裁判長は主文を読んだだけで退廷した。裁判はわずか10秒ほどで終わった。
札幌高裁に続いて、またも敗訴判決である。法廷内から驚きの声はあがらず、淡々としているように見えた。一審からすべての弁論を傍聴してきた元高校教師の安達洋子さんは「不当判決。安倍最高裁だから」とつぶやいた。写真家のT.Sさんは、「裁判長はコロナから逃げるようにして出て行った」と憤った。

結論ありき、揚げ足取り、粗探しの判決だ(神原)■■ネトウヨを煽ったのは文春、西岡、櫻井氏だ(北原)■■ジャーナリズムの危機だ、上告して闘いたい(植村)




午後2時20分ごろから、裁判所の前の歩道で抗議行動が始まった。「不当判決」の掲示をかざす原告弁護団の永田亮弁護士を囲むようにして、「#捏造ではない」のメッセージボードを掲げた支援者が並ぶ。韓国の支援団体が用意した横断幕も広げられた。
支援者に向かって、神原元・弁護団事務局長、作家の北原みのりさん、植村さんが順に、次のように語りかけた。植村さんは「上告して闘う」と決意を明らかにした。

■神原弁護士 控訴審で私たちは元慰安婦の金学順さんの聞き取りテープを提出した。このテープで金学順さんは「キーセン」とは言っていない。だから、証言していないことは書けない、と主張した。これに対して裁判官は、「提出されたテープが金学順の証言のすべてなのかどうかわからない」「聞き取り調査すべてを記録したとは認め難い」と、勝手に決めつけた。また、西岡氏がウェブサイトに間違った文章をいまだに削除せず掲載していることについては、「西岡が削除権限を持っているかわからない」などと述べた。これは、裁判では議論にもなっていない理由で棄却したことになる。植村裁判を通して、金学順さんの証言に対する攻撃は不当であり、キーセンにいたのだから被害者ではない、といっている。中身への判断がなく、揚げ足取りに終始している。きわめていい加減、結論ありきの、あら探しをした判決と言わざるを得ない。
■北原みのりさん 先月にあった札幌高裁判決の「単なる慰安婦」という表現に傷つき、怒りがわいた。植村さんのことは応援していたが、行動を起こせなかった。嫌韓や慰安婦問題で2014~15年、言論が暴力化し、闘う気力がそがれていた。植村さんに敬意を表したい。いま「慰安婦はなかった」ことにされている世論ができあがっている。ネトウヨ女性に取材したが、みな「慰安婦は噓」といっていた。それをあおったのが文春であり、西岡、櫻井氏らの大きな罪だ。昨年、金福童さんが亡くなり、ほとんどの「慰安婦」被害者が亡くなる中、それでも未来を変えて希望をもとうという動きがでている。だまっているわけにはいかない。日本のひどい状況を変える空気をつくっていきたい。一緒に社会を変える。人権から言論が発展するように、ともに闘いたい。

■植村隆さん 主文を読み上げただけで裁判長は逃げました。金学順さんの話を聞いたテープが見つかったので、それを全部起こして裁判所に提出した。ところが裁判長は「全部録音されているのかわからない」と言って、最大の証拠を正当に評価しなかった。このような判決が認められたら、ジャーナリズムの危機だ。私だけの問題ではない。金学順さんの証言を伝えただけで、 なぜ私がここまで言われるのか。ほかのだれも攻撃されないのに、ずっと攻撃されたのは、慰安婦をなきものにしようという大きな狙いがあるからだ。裁判所も、慰安婦の証言を伝える者には厳しい。なきものにしようという人をほったらかして、罪はないという。2014年の文春の記事で、激しい攻撃が大学や私に及んだ。バッシングについては、被告側の喜田村弁護士も批判していた。私は救済を求めたが、過去に向き合う者には厳しく、否定する者には寛大な判決が下された。しかし最高裁が残っている。上告して闘いたい。




写真 白谷達也