2019年4月27日土曜日

映画「標的」支援を


映像ジャーナリストの西嶋真司さんが植村さんのたたかいの日々を描いたドキュメンタリー映画「標的」の完成が近づいています。
西嶋さんは社会問題をテーマに多くの番組と映像作品を世に送り出してきた元RKB毎日放送のディレクターです。2016年秋に北海道大で開かれた「慰安婦と歴史修正主義」シンポジウムで植村さんを撮り始め、以来、札幌、東京、福岡、ソウルなどで、裁判や集会、講演、講義などに密着して植村さんの言葉と表情、周辺の人々を記録してきました。

今夏に完成し、公開は自主上映でスタートするとのことです。今後の編集プロセスでは資料映像購入や楽曲制作、印刷物、試写などに多額の費用がかかるため、資金拠出を広く求めるクラウドファンディングが4月25日に立ち上がりました。

■制作趣旨、映像の短縮版、寄金申し込み方法などプロジェクトの詳細は➡ こちら

■西嶋真司さんのメッセージを同プロジェクトのサイトから一部、転載します


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このプロジェクトは、ドキュメンタリー映画「標的」の制作費、および全国上映に向けた宣伝費を募るものです。「標的」は“捏造記事”を書いたとして激しいバッシングに晒された元新聞記者が主人公。他のメディアも同じ様な記事を伝える中、何故彼だけがバッシングの標的になったのか? 民主主義の根幹を揺るがすジャーナリズムの危機に迫ります。

■「慰安婦報道」に向けられた誹謗と中傷〜ジャーナリストはなぜ標的になったのか
 元朝日新聞記者の植村隆さん。20年以上も前に書いた元慰安婦をめぐる記事の中で「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」と書いたことで右翼論壇やその支持者たちから執拗なバッシングを受けました。攻撃は次第にエスカレートし、植村さんが教鞭をとることが内定していた大学や植村さんの家族までもが卑劣な脅迫に曝されました。
 日本政府は慰安婦が強制的に戦地へ送られたことを裏付ける資料が発見されていないとして、慰安婦の募集に国家や軍部が関与したことを否定しています。「女子挺身隊の名で戦場に連行され」という植村さんの記事が「捏造」だと批判されたように、国家にとって不都合な報道に対するバッシングは後を絶ちません。
 「売国」「国賊」「反日」。植村さんの名前をインターネットで検索すると、今もこのような文字が溢れています。自分たちと価値観の異なるメディアや個人を狙った執拗な攻撃や脅迫が繰り返され、それに屈するかのように多くのメディアが沈黙し、萎縮しています。それは言論の自由が保障されたはずの日本の民主主義が崖っぷちに立たされていることを物語っています。
 この状況に危機感を覚えた多くの市民、マスコミ関係者、弁護士たちが植村さんの支援に立ち上がりました。そこで制作されたのが映画「標的」。植村さんと彼を支える人々が理不尽なバッシングに真正面から立ち向かう姿を多くの人に知ってもらいたいと願います。
■ジャーナリストが自由に発言できる社会に
 映画を監督する私(西嶋真司)は植村さんが“捏造記事”を書いたとされる19918月、民放のソウル特派員として慰安婦報道の渦中にいました。当時、韓国では「挺身隊」と「慰安婦」が同義語として使われていて、私をはじめ日本の他のマスコミも慰安婦問題の記事に挺身隊という言葉を使っていました。記事を書いた一人として植村さんの記事が「捏造」ではないことを誰よりも理解しており、脅迫や嫌がらせによって言論を封じ込めようとする動きに危機感を強めました。
 ジャーナリストの役目は自由な言論空間の中で国民の知る権利に奉仕すること。ジャーナリストが萎縮し、国民に真実が伝わらなくなれば社会は衰退します。真実をきちんと報道できる社会にするため、まずは現状を知ってもらいたいという思いからドキュメンタリー映画の制作に動き出しました。

■おかしいことをおかしいと言う
 おかしいことをおかしいと言う。メディアとしての当たり前の役割が機能しなくなっている日本の現状を、映画「標的」を通して、より多くの方に知ってほしいと考えています。ドキュメンタリー映画はご覧いただいた方々が意見や感想を共有することで、社会を動かす大きな力を生み出します。皆様からのご支援によって映画を全国の人々のもとに届け、自由な言論を守ることの意義について考える機会を広げたいと思います。
目標金額は300万円
·         撮影及び編集費(40万円)
·         上映用素材制作費(10万円)*本編および予告編のブルーレイ・サンプル用DVD
·         交通費(25万円)
·         ナレーション録音費(40万円)
·         楽曲や資料映像の著作権料(40万円)
·         HPデザイン費(15万円)
·         英語翻訳費(15万円)
·         パンフレット制作費(25万円)
·         印刷費(40万円)*ポスター・チラシなど
·         試写会会場費(30万円)
·         映画宣伝外注費(10万円)
·         DM郵送、チラシ配送等(10万円)
■リターンの概要
 多くの人に参加していただける映画にしたいと思い、支援者のお名前を映画の公式サイトやエンドロールに掲載いたします(掲載を希望されない方はその旨をおしらせください)。また金額に応じて、映画の鑑賞券やプレミア上映会へのご招待、映画本編のDVD、特典映像付きDVD、プライベート上映会の開催など様々なリターンを用意しております。プライベート上映会については上映用および宣伝用の素材はこちらから提供しますが、上映会場費や上映設備費用はリターンには含まれず、別途、主催者の負担になります。ご了承ください。
■想定されるリスク
 映画「標的」は現在、進行している裁判などを取りあげています。20198月中に制作を終えて、2019年中に上映を開始する予定ですが、今後の動きによってはスケジュールが前後する可能性があります。
 東京、大阪、名古屋をはじめとする日本の主要都市での上映を想定していますが、映画が未完成の現時点では、上映場所、日程などを特定できないことをご了承ください。支援者の皆様には途中経過を随時ご報告いたします。
■言論の自由が保障された社会を目指して
 アメリカのトランプ大統領は自らに不都合な報道を「フェイクニュース」と主張してツイッターで拡散させます。権力に批判的なサウジアラビア人のジャーナリストが、昨年、大使館内で殺害されました。権力に抗う記事を書けば、脅迫や迫害が待っているとすればジャーナリズムの存在そのものが危うくなります。それは日本も例外ではありません。
 映画「標的」は理不尽なバッシングに毅然と立ち向かう主人公と支援者たちの姿を通して、多様な言論が保障された社会の実現に取り組みます。皆様のご支援をお待ちしています。