2018年7月6日金曜日

札幌訴訟12回結審

update 2018/7/7 9:00am
update 2018/7/7 9:15pm
判決は11月9日(金)午後3時30分に
■伊藤弁護士 「ジャーナリストの基本的営為を怠った」と櫻井氏を批判
■植村隆さん 「金学順さんの言葉の重み」「家族と支援者への感謝」を語る

植村裁判札幌訴訟の第12回口頭弁論が7月6日午後、札幌地裁で開かれ、すべての審理を終了した。提訴から3年5カ月、審理開始からはおよそ2年3カ月を費やしての結審となった。判決は、11月9日(金)午後3時30分から、札幌地裁805号法廷で言い渡される。

午後2時、805号法廷で開廷。植村弁護団の席と傍聴席はいつものように埋め尽くされた。
植村弁護団はこれまでの主張と訴えをまとめた最終準備書面を提出し、伊藤誠一弁護士(植村弁護団共同代表)と植村隆さんがが最後の意見陳述を行った。被告櫻井氏側からも書面が提出されたが、意見陳述はなかった。櫻井側主任格の高池勝彦弁護士は欠席した。

意見陳述で伊藤弁護士は、この裁判の意味と被告櫻井氏の批判に力点を置いて訴えた。
「傍聴券を得るために毎回長い列を作って並んだ市民のみなさんに共通する思いは、市民社会の自由の淵源である表現の自由に関わる、平易とは思われない事案の審理を司法がどのように指揮し、どう裁くのであろうか、という一点に集中させていた、ということではなかったか」
「被告櫻井は、日本軍慰安婦問題について自らとイデオロギーを共有するらしい一、二の研究者と面談し、その書いたものを参照したことはあったようであるが、その余の客観的資料に直接当たって、これを読みこむというジャーナリストとして最も基本的な営為を怠ったことが明らかになった」
と述べ、最後に、
「特定の思潮の下にある人たちにとって受け入れがたいという理由のみで、憎悪が、一瞬にして爆発的に増幅されて拡散するというインターネット社会の特徴が巧みに利用されて、植村さんが名誉を傷つけられているというべき本事案について、司法的な解決を求めているこの訴訟に相応しい救済をしていただくよう、そして将来起こりかねない類似の例をあらかじめ防ぐに足る判断をしていただくよう、改めて求める」
と語った。

つづいて植村さんが陳述した。植村さんは、緊張と心労で裁判に臨んだ日々を振り返り、金学順さんの言葉の重み、家族と支援者への感謝の思い、櫻井氏への批判を語った後、
「絶望的な状況から始まったが、希望の光が見えてきたことを実感している。私は、もう一度、大きな声で訴えたい。私は捏造記者ではありません。裁判所におかれては、私の意見を十分聞いて下さったことに感謝しています。公正な判決が下されることを期待しています」と結んだ。
その後、岡山忠広裁判長が判決日時を確認し、「どうもお疲れさまでした」と一言だけ述べた。閉廷は午後2時26分だった。

この日の札幌は数日来の長雨が小休止し、束の間の陽光が雲間から時折もれた。気温17度。開廷30分前までに傍聴券交付のために並んだ人は113人。66席の傍聴席に1.7倍の倍率となった。

札幌地裁に向かう植村さんと弁護団