2016年6月10日金曜日

札幌訴訟第2回速報

入廷する植村さんと弁護団(6月10日、札幌地裁)

札幌訴訟の第2回口頭弁論は6月10日(金)、札幌地裁で開かれました。

札幌ではきのうから夏の訪れを告げる「よさこいソーラン祭り」がにぎやかに開催中で、裁判所周辺でも「ソーラン」が遠くから聞こえていました。傍聴抽選には111人が行列を作りました。抽選倍率は一般傍聴席70に対して約1.6倍(前回は3.5倍)。櫻井氏の支援者とみられる日本会議系の団体が事前に傍聴を呼び掛けていましたが、それとおぼしき人物と確認できたのは数人のみ。3人程度が抽選に当たり、傍聴券を手にしたようです。

805号法廷の原告代理人席(植村さん側)はこの日もいっぱいの4列になりました。そのため椅子の列は証言台のすぐ前までせり出し、通常の裁判では最前列に座るはずの植村さんが、2列目に埋もれる形になりました。
午後3時半開廷。裁判長に向かって左側に植村さんと弁護団の計27人が着席。対する被告席は林、高池弁護士ら代理人6人で、櫻井氏の姿はありませんでした。
裁判はそれぞれの主張を展開する準備書面の応酬となっており、法廷ですべてが読み上げられるわけではないので傍聴席からはそれぞれの主張の組み立て、争点が分かりにくい。この日の法廷では櫻井氏側の準備書面(3月31日付)に対する反論をまとめた原告側準備書面(6月6日付)の要旨のみ、成田悠葵弁護士が読み上げました。
それによると、櫻井氏側が「捏造」の表現を「意見」「論評」と主張するのに対し、原告側は過去の判例などを踏まえ、「捏造」は証拠の裏付けが必要な「事実摘示()(事実を暴くこと)である」と反論。櫻井論文を「事実摘示」とみるか「意見」「論評」とみるかが争点になってきました。

この後、岡山忠広裁判長は原告側に対し、「どの部分が事実の摘示に当たるのか、なぜ植村さんの社会的評価の低下に当たるのか、整理してほしい」と注文。約15分間で閉廷し、非公開の進行協議に移りました。
進行協議では、次回以降の年内の期日が以下のように決定しました。
▼第3回7月29日(金)、第4回11月4日(金)、第5回12月16日(金)、いずれも午後3時半開廷、805号法廷


報告集会は午後6時から、裁判所近くの札幌市教育文化会館(3階研修室)で開かれました。
はじめに、弁護団の秀嶋、成田両弁護士が報告と解説をしました。秀嶋弁護士は、「事実摘示の具体的な主張」を裁判長から求められたことについて、「事実摘示は細かな部分ではなく文脈全体で論じるべきこと」としながらも、「早い段階で論点を整理しようという、裁判促進法に則っている」と、裁判長の訴訟指揮に納得のいく説明をしました。
植村さんは、3カ月がたった韓国での生活ぶりを、スライド映像を使いながら語りました。ジョークを交えた植村さんの軽妙な語りが、会場の参加者の柔らかな笑いに包まれていました。
休憩をはさんで行われた講演は、北大准教授の玄武岩さんによる「ナショナリズムとメディア」。玄さんは1時間にわたって、なめらかな日本語で、「国益」についての新聞社間の意見対立と朝日新聞バッシングとの関連や、社説の変容の背景を分析した後、「少女像」をめぐる最新の韓国社会のホットな状況を報告しました。出席者は80人を超え、会場は満員でした。


報告集会詳報は、記録サイト「植村裁判資料室」にあります。こちら


会場いっぱいの報告集会(同日、札幌市教育文化会館)