2021年1月9日土曜日

櫻井氏らの誇大宣伝

「捏造が認定された」「完全な勝訴」は一方的、勝手な解釈による“勝利”宣言だ

 月刊「WiLL」 櫻井よしこ、阿比留瑠比対談に反論する 

櫻井よしこ氏が月刊「WiLL」の最新号(2021年2月新春号)で阿比留瑠比氏(産経新聞論説委員)と対談し、植村裁判札幌訴訟で判決が確定したことについて、「完全な勝訴」「捏造が認定」などと一方的な解釈で勝利宣言をしている。

この対談は、同誌の巻頭の大特集「元朝日新聞植村記者『慰安婦捏造』に最高裁の鉄槌!」(p30~78)のトップ記事(p30~p43)。櫻井氏は、「彼女(金学順)の言った事実を書かないで、『女子挺身隊の名で連行され』たと、彼女の言っていないことを書いた。都合の悪いことを隠して都合のよいことを書き加える――これは『捏造』以外の何物でもありません」と、これまでの主張をより一層強い口調で語り、阿比留氏は「ついに真実(ファクト)が捏造(フェイク)に勝利した」と応じている。このような記述も含め、この対談記事には、誇大な表現や事実の歪曲、不当な人格攻撃などが少なくない。裁判で明らかになった櫻井氏の誤りに全くふれていないことも公平性と誠実さを欠く。以下に、対談記事の問題点を対談形式で検証する。

なお、同誌特集では東京訴訟の被告西岡力氏も登場し、門田隆将氏(作家)と対談(p44~55)している。両氏は「朝日は日本国民に訂正・謝罪せよ」と息巻き、西岡氏はこれまでの主張を繰り返している。この対談は東京訴訟の勝訴確定を前提としたものであり、両氏の発言には看過できない問題点が多数ある。しかし、最高裁の判断 はまだ下されていないので、当ブログでは、問題点の検証と指摘は判決確定後に明らかにする。

=以下、文中の人名は、元慰安婦被害者も含めすべて敬称を略します

■誇大な表現と事実の歪曲

Q この対談記事はひどい。意図的な歪曲、悪意に満ちた誹謗中傷があふれている。

R ほんとに、ひどい。その一言に尽きる。読んでいて呆れるばかりだった。

Q 年末に読んで感じた怒りは、年が明けてもおさまらない。

R 14ページにわたる長い記事だが、全体を通じて誇大な表現と事実の歪曲が目立つ。その極みが完全勝訴と捏造認定という表現だ。

Q 対談の冒頭からして「完全勝訴おめでとうございます」だからね。

R たしかに、櫻井の勝訴、植村の敗訴は、最高裁の決定で確定した。地裁、高裁、最高裁すべてで、植村の請求は退けられた。しかし、櫻井は完全勝訴したわけではない。裁判所は植村の記事が捏造であるとは認定していない。裁判所が認めたのは、「継父によって人身売買され慰安婦にさせられた」とする櫻井の記述を「真実と認めるのは困難である」 ということと、にもかかわらず植村記事が捏造だと櫻井が信じたことにはそれなりの理由があるから櫻井は免責されるということだ。櫻井の取材の杜撰さも明らかになって、阿比留の勤務先である産経新聞と、今回の特集を載せた雑誌「WiLL」にそれぞれ訂正を出している。それなのに、まるで完全な勝訴であるかのように喜んでいる。

Q 裁判所は、櫻井が植村の記事を捏造と決めつけるにはそれなりの理由があった、と認定し、櫻井が植村の名誉を毀損した責任を免じた、ということなのだ。

R だから、櫻井勝訴は外形的事実に過ぎない。判決の内容や裁判の経過をきちんと検証すれば、完全勝訴と浮かれることはできないはずだ。

Q 櫻井の勝訴をスポーツに例えれば、柔道やレスリングのような格闘技でレフェリーのあやしげな判定、誤審に助けられて僅差で逃げ切ったようなものだ。まっとうな選手なら、そんな勝ち方をしても、ガッツポーズをしたり胸を張って大言壮語したりなどはしない。

R 記事の見出しに「慰安婦捏造に最高裁が鉄槌!」とか「ついに真実が捏造に勝利した」などとある。櫻井と阿比留だけでなく、編集者もいっしょになってお祭り騒ぎをしている。

Q 阿比留は「司法が朝日の捏造を認定した意義は大きい」と言っている(p31、下段)

R これは違う、と声を大にして繰り返して言いたい。判決のどこにも「朝日の記事は捏造だった」などと認めた記述はない。櫻井が植村の記事を捏造と記述したことについて「真実と信じた相当性がある」と認め、櫻井を免責したにすぎない。阿比留のような、誤った、しかも誇張した解釈が拡散されることは許せない。

Q この記事が出る前に安倍晋三が同じようなデマをフェイスブック で流していた。

R 「植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね」というコメントのことだね

Q 植村がすぐに内容証明郵便で強く抗議したら、安倍はこっそりコメントを削除した。前首相の大失態であり、みっともない。安倍の議員事務所はこの件での取材を受けず、削除を認めるコメントを出していない。ところが阿比留は、記事の中で「面倒な人たちに絡まれるのを嫌ってか、安倍前首相はフェイスブックのコメントを取り下げました」(p37、上段)と負け惜しみを言うなかで、コメントを削除したことを安倍本人の代わりに認める格好になっている。

R 安倍のデマ発信はうまくいかなかった、そこで安倍親衛隊の櫻井と阿比留が親分の失敗をカバーするために、この記事でフォローしているということなんだろうね。

■櫻井は加害者、植村は被害者

Q 表紙と記事大見出しにある「晴らされた濡れ衣 」にも驚いた。

R そもそも、捏造という濡れ衣を着せられたのは植村であって、だからこそ植村は名誉毀損で訴え、濡れ衣、汚名を晴らそうとした。植村は被害者、櫻井は加害者なのだ。ところが櫻井は名誉棄損で訴えられたことが濡れ衣だと言わんばかり。これはおかしい。櫻井は被害者ではなく、加害者なのだから。主客転倒、本末転倒もはなはだしい。

Q 櫻井は、裁判で争点となったことを持ち出して、事実とは違っていることを平気で言っている。たとえば、「植村氏の記事は、それまで一人も実在の人物として特定されていなかった朝鮮人女性の被害者を世に知らしめるものです」(p33、上段)という発言。これも誤りだ。朝鮮人女性の元慰安婦として実名が伝えられた人は、1970年代には沖縄在住の裵奉奇、80年代にはタイ在住の盧寿福がいる。

R 金学順は、韓国在住の韓国人元慰安婦としてはじめて名乗り出て記者会見し、韓国社会に大きなインパクトを与えた。しかし、その前に一人も朝鮮人女性が名乗り出ていなかったと断言するのは誤りだ。金学順の名乗り出だけを過剰に評価することによって植村の記事を狙い撃ちにしようという櫻井のフレームアップだ。

Q 裁判では、植村の記事の前文にある「女子挺身隊の名で戦場に連行され」との表現も重大な争点となった。これについて櫻井は「植村氏は金さんが日本国の法令に基づいて連れて行かれたのではないと知っていながら、戦場に連行されたと書いたのです。しかも金さんはテープで「だまされて慰安婦になった」と語っていたと植村氏は認めています」と言っている(p34、下段)これも誤りというかミスリードだ。植村は記事本文で「女性の話によると、中国東北部で生まれ、十七歳の時、だまされて慰安婦にされた」と書いている。植村は金学順がテープで語った通りに記事に書いているのに、櫻井が「彼女の言った事実を書かないで」と言うのは、悪質なミスリードだ。

R この「女子挺身隊の名で戦場に連行され」は、櫻井がいちばんこだわっていることで、植村の記事を捏造だと決めつけるための重要な根拠としている。だから、櫻井はしつこく何度も繰り返すのだろう。櫻井は、昨年12月21日に自身のネット番組、言論テレビ「櫻LIVE」でも同じことを語っている(注1)。その番組のフリップには「1.法廷尋問調書「事実でないと知りつつ書いた」」とある。しかし、法廷尋問調書のどこにも「事実でないと知りつつ書いた」などという植村氏の発言はない。裁判所の公式な文書に記述があるかのように偽る悪質なミスリード。櫻井お得意のだましのテクニックだ。

■阿比留記者の脱線転覆

Q 憶測や噂をもとに、ふたりで揃って植村を口汚く揶揄しているのも許せない。

R ひどい人格攻撃がある。自称ジャーナリスト、産経新聞論説委員、という肩書で話すことだろうか。

Q 櫻井が「そもそも植村氏はなぜ捏造記事を書いてしまったのか」と阿比留に問いかけると、阿比留は「本人のみぞ知る、ということを前提に話しますと…」「あくまで憶測ですが」と逃げを打った上で、「日本軍の罪を暴く記事を書けば朝日新聞の論調に合ってスクープの価値が上がり、社内で評価される――そんな安易な発想で捏造に手を染めてしまったのではないか。つまり、スター記者になりたかったのかもしれません」と言っている(p40、下段)

R もうひとつ指摘しておこう。阿比留は、2017年衆院選の時、日本記者クラブが主催した党首討論会での一件を持ち出している。「安倍前首相が朝日新聞に対して「(獣医学部新設の審査に一点の曇りもないと証言する)八田達夫・国家戦略特区諮問会議議員の報道はしていない」と指摘しました。すると朝日新聞の坪井ゆづる記者は「しています」と返答。安倍前首相が「本当に胸を張って報道しているということができますか?」と質しても、「できます」の一点張り。会場では呆れ交じりの笑いが漏れていました。」と語っている(p37、中段)。これも事実に反する。坪井記者は「社説余滴」というコラムで、安倍とのやりとりを詳しく書き、安倍のいいがかりともいえる発言を批判し、「首相こそ、胸を張れますか」と反論している(注2)。この一件、植村裁判には関係のないことだが、阿比留は自ら脱線して転覆している。

Q 的外れの批判もある。阿比留は金学順の名乗り出の取材のいきさつについて、「そもそも、植村氏は金氏に会って話を聞いたわけではありません。韓国の反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」にテープを聞かされ、それを記事にしたのです。この程度の取材で記事を書くとは、記者の常識に照らしても到底理解できません」(p34、上段)と言っている。

R これにも驚くしかない。植村にとって1991年8月の記事の主眼は、挺対協の聞き取り調査に元慰安婦が応じた事実を初報として報じることだったし、直接取材はできず、名前も伏せることが取材の条件だった。そのような制約の多い状況で、植村は証言テープをきちんと聞いて書いた。それまでに挺対協事務局サイドの取材も十分に行っていた。さらにその後、金学順に直接会い、続報として12月にインタビュー記事を出している。だから、「この程度の取材で」という批判は的外れもはなはだしい。

Q あまり知られていないことだが、阿比留はこれまでに2人の国会議員に名誉毀損で訴えられ、2回とも敗訴している。最初は辻元清美議員に対する名誉棄損(2011年、産経新聞紙面)、次は小西洋之議員への名誉毀損(2015年、フェイスブック)で、それぞれ賠償支払い(80万円、110万円)を命じる判決が確定している。どちらも、阿比留が書いたことは事実ではなく、そう信じた理由も認められず、本人への取材もなかった、と裁判所は認定している。

R それでも懲りずにいまも記者稼業を続けている。業界の常識に照らしても、勤務先の産経新聞がいまだに看板記者として遇していることが到底理解できない。

Q いっぽうの櫻井も、同じように植村と支援者を侮辱している。「裁判を傍聴した方なら植村氏の主張が支離滅裂だということが理解できるはずです。しかし、いまだに植村氏の支援者たちは「植村さんは絶対に正しい。櫻井なんかに負けるはずがない」と本気で信じているふしがある」と語っている(p35、下段)。支離滅裂とは、ひどすぎる。裁判で自分の記事の誤りを認めざるを得なくなったのは、櫻井のほうだ。昭和平成ギャグで言えば、「おまいう」だ(注3)

R 根拠も示さずに、過剰な表現で印象操作をする。これがジャーナリストを自称する人の発言だろうか。私は札幌地裁で13回、札幌高裁で3回の口頭弁論をすべて傍聴したが、植村の支離滅裂な主張を耳にしたことは一度もない。櫻井が何と言おうと植村は捏造をしていないし、裁判所も「植村が捏造記事を書いた」とは一度も認定していない。疑う余地はいまでもまったくない。植村の主張は一貫している。植村の主張のどこが支離滅裂なのか、根拠を示して具体的に説明すべきだ。

Q 櫻井は、植村が裁判に訴えたことについても、難クセをつけている。「植村氏は週刊金曜日の社長を務めています。せっかく自分のメディアを持っているのなら、言論で勝負を挑んでいただきたかった。議論を重ねて真実を追求することは私たち言論人の特権であると同時に、社会への責任です。言論人が司法に正義を決めてもらうのは情けない」(p36、上段)「植村氏側が札幌を希望した理由の一つに、植村氏はそれほど豊かでないから旅費を賄うのが大変だ、というのもあった、と私は聞かされました。しかし、植村氏は東京や韓国を飛び回って講演や集会を開いています」(p38、中段)

R 法廷ではなく言論の場で、というのは櫻井の口グセだ。植村が東京だけでなく札幌でも提訴したのは、脅迫や抗議などのバッシングが集中したのは札幌だったからで、提訴を後押ししたのは支援に立ち上がっていた札幌の多くの市民と弁護士たちだった。法廷闘争は邪道だと櫻井は言うが、植村が受けた物心両面の深刻な被害に目をつぶる、無責任で冷たい言い草だ。植村が週刊金曜日の社長になったのは、裁判の途中の2018年秋であり、櫻井の指摘は順序が逆だ。週刊金曜日は植村バッシングと植村裁判をずっと報じ続けている。その報道姿勢は植村が社長になる前から変わっていない。そもそも週刊金曜日は植村の私有物ではなく、リベラルなメディアとして社会にとっても貴重な公器だ。

■自分の誤りをひた隠す櫻井

Q この裁判では、櫻井の取材内容や取材態度も大きな争点になり、その結果、櫻井の取材の杜撰さが明々白々になっている。ところが櫻井は、「植村氏の記事を批判するにあたって、本人に直接取材する必要はありません。署名入りの記事を書き、もしくは実名で論評する以上、それが世に出た時点でいかなる評価も批判も一身に受ける――それが言論人の覚悟というものです」と開き直っている(p38、上段)。たしかに、表現がまともな論評の範囲内であれば、本人の直接取材は必ずしも必要ではないだろう。しかし、「捏造」という究極の表現で決めつけるには、本人に会って、あるいは電話やメールで「捏造」の意図があったかどうかについての言い分を聞き、疑問をぶつけて確認をする、という作業が絶対に必要だ。

R 櫻井は、取材執筆の基本のキ、イロハのイをけろっと否定している。裁判所が櫻井の「相当な理由」を認めて免責したので、強気に転じたのだろう。「真実相当性」という免罪符さえあればこわいものはない、と言わんばかりだ。この対談の発言ぶりにはそんな姿勢が感じられる。植村は一審判決後に、こんな安直な取材が許される風潮が広まりかねない、恐ろしい、と言っていたが、その通りだ。

Q 裁判では櫻井のウソも暴かれた。櫻井は、金学順が日本政府を訴えた裁判の訴状に「書かれていないこと」をひとつの論拠として、植村記事を捏造と決めつけていた。金学順が「14歳で継父に40円で売られた」というくだりだ。札幌地裁の第1回口頭弁論で、植村は櫻井の記述の誤りを指摘し、訂正を求めた。結果、櫻井は誤りを認め、件の月刊WiLLと産経新聞紙上で訂正記事を出している。

R この対談記事では、そのことはひとことも語られていない。また、福島瑞穂議員が語っていない発言を櫻井がでっち上げたという有名なウソ事件も、この裁判の尋問で明かされたが、同じようにノータッチだ(注4)

Q その一方で、櫻井と阿比留は植村裁判とは何の関係もないことを繰り返し持ち出している。「黒幕の正体」という小見出しの後に、吉見義明・元中央大教授と高木健一弁護士のことが語られていたり、「朝日新聞と国益」の後には、朝日新聞記者だった北畠清泰、松井やよりのことを長々と話題にしている。ネタ元は元朝日記者がワック社から出した「崩壊 朝日新聞」という本だという。

R 北畠、松井は故人であり、発言の真偽や真意を本人に確認することができない。それなのに人格や名誉にかかわることを一方的な引用だけで紹介するのはアンフェア、無責任にすぎる。

Q 阿比留は、対談の最後に「ついに真実(ファクト)が捏造(フェイク)に勝利した。今回の判決は、大きな反撃の一歩となるでしょう」と言っている(p43、下段)。アンフェアで無責任な対談のしめくくりに相応しい迷言だ。

構成・文責=北風三太郎(フリーライター)  顔写真=記事p32、p33より転写

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注1 このネット番組の対談についての櫻井コメントと対談内容

https://www.genron.tv/ch/sRkurR-live/Rrchives/live?id=767

≪櫻井よしこの対談後記≫ 今夜の言論テレビは私の足かけ6年にわたる裁判のお話です。2015年2月に朝日新聞の元記者、植村隆さんに名誉棄損で訴えられました。植村氏の書いた慰安婦報道は捏造であると私が報じたことに対する損害賠償請求でした。植村氏は慰安婦の「金学順」さんが強制連行されたわけではなく、女子挺身隊とは無関係だったと知っていながら、記事では女子挺身隊の名で連行されたと書いたことが法廷の尋問で明らかになりました。金学順さんを強制連行された女性というふうに事実と異なる書き方をしたのですから、これは捏造です。裁判所は地裁も高裁も最高裁もすべてこの点を認めて、裁判は私の完全勝利に終わりました。私の主任代理人の林いづみ弁護士、私と同じように植村氏に訴えられている西岡力氏、ジャーナリストの門田隆将氏らと6年間の裁判を論じました。その議論は自ずと朝日新聞の責任にも及びました。朝日は本当に酷い新聞です。皆それぞれの思いが強いために熱い議論になりました。
≪対談で話された論点≫ 1.林主任弁護士による裁判全体総括 2.初公開!植村法廷陳述調書のやり取り 3.なぜテープを聞いただけで記事を書いたか 4.本当に悪いのは植村上司の北畠清泰記者 5.週刊金曜日は取材もせずに記事を書くのか 6.朝日新聞は目的のために記事を捏造する 7.朝日では“角度”をつけないと記事でない 8.裁判は左翼政治運動の道具 9.慰安婦問題の真実を世界に広げる10.櫻井よしこの「闘争宣言」

注2 坪井記者の「社説余滴」 https://digital.asahi.com/articles/DA3S13188475.html

注3 「おまいう」は「お前が言うか」の意。同意のギャグとして「そんなバナナ」(そんなバカな、の訛り)、「冗談はよしこさん」(冗談はよして、の意)がある。

注4 櫻井のウソ 1996年に横浜市教育委員会が主催した講演会で、櫻井は慰安婦問題について、「福島瑞穂弁護士に、慰安婦問題は、秦郁彦さんの本を読んでもっと勉強しなさいと言った。福島さんは考えとくわ、と言った」と語った。しかし実際にはこのような会話はなく、事実無根の大ウソだったことが後に判明した。櫻井は福島氏に電話で謝罪し、福島は雑誌でその経緯を明らかにした。札幌訴訟の本人尋問(第11回口頭弁論、2018年3月23日)で植村弁護団は、「なかったことを講演で話した。この会話は事実ではないですね」と質した。櫻井は「福島さんには2、3回謝罪しました。反省しています」と、あらためて事実を認めた。