2019年7月4日木曜日

札幌控訴審2回速報

一審判決は取り消されるべきだ

■植村弁護団が強く主張

植村裁判札幌訴訟の控訴審第2回口頭弁論が7月2日、札幌高裁であった。

この日の弁論は午後2時30分に始まった。
定員78人の805号法廷の傍聴席はすべて埋まっている。弁護団席には植村さん側が25人、櫻井氏側は6人が着席した。6日前には植村氏敗訴の東京地裁判決があったばかり。法廷の緊密感は前回(4月25日)と変わらない。

正面中央の裁判長席には冨田一彦・部総括判事が着いた。冨田氏は5月13日付で着任し、本多知成裁判長と交代した(冨田氏の前任は神戸地裁部総括判事、本多氏は札幌地裁所長に就任)。裁判長交代による手続き(審理の引き継ぎを確認する「更新手続き」)と提出証拠の確認の後、植村さんが起立して意見陳述を行った。植村さんは、「裏付け取材なしに思い込みだけで『捏造』と断じた櫻井氏を許した判決はあまりにも公正さを欠く」と強い口調で述べ、冨田裁判長に向かって「証拠をきちんと検討し、公正な判決を出していただきたい」と訴えた。

その後、植村弁護団が提出した「準備書面(1)」の要旨を、大賀浩一弁護士が読み上げた。
この準備書面は、憲法学者と元記者が一審の問題点を指摘した計3通の意見書・陳述書を基に、一審判決の取り消しを求める内容だ。一方、櫻井側弁護団も書面を提出し、弁論の終結を求めた。これに対し、植村弁護団は弁論のさらなる続行を求め、①東京、札幌両地裁判決が共通してはらむ問題点に関しての主張書面②証人申請をした梁順任さんの陳述書を補充する書面、を提出する予定だ、と述べた。冨田裁判長が櫻井側弁護団に「もう主張することはないのですか」と問いかけると、林いづみ弁護士は「ありません、裁判所の判断におまかせします」と答えた。
冨田裁判長は「では次回も開き、結審します」と述べ、日程を協議した結果、10月10日午後2時30分に次回口頭弁論を開き、その日に結審することになった。
閉廷は午後3時5分だった。

     写真上=裁判所に向かう植村さんと弁護団(2日、札幌高裁前)
    写真下=韓国から応援に訪れたジャーナリスト任在慶さん(向かっ
        て左)と李富栄さん(同右)も傍聴した


※植村氏さんの意見陳述の全文と、大賀弁護士が陳述した「準備書面要旨」の要約は、この記事のあとにあります。


報告集会と講演

裁判の後、報告集会が午後5時30分から、裁判所近くの札幌市教育文化会館4階講堂で開かれた。

はじめに、6月に「植村裁判を支える市民の会」の共同代表に就いた本庄十喜(ほんじょう・とき)さんがあいさつをした。本庄さんは北海道教育大学札幌校准教授。民衆運動史と戦後補償運動史を研究する歴史学者で、共同代表のひとり結城洋一郎氏(小樽商大名誉教授、憲法学)が病気療養中のためバトンを引き継いだ。

裁判報告では、この日の弁論内容を札幌弁護団の成田悠葵弁護士が解説し、さらに、6日前の東京地裁判決の問題点を、東京からかけつけた神原元弁護士が詳しく説明した。

裁判報告に続いて、韓国の民主化運動を牽引したジャーナリスト、任在慶さんと李富栄さんのあいさつと講演があった。植村さんの裁判を応援し韓国内に広めるために来日した両氏は、この日の裁判を最前列席で傍聴した。任さんは、初めて訪れた北海道の印象と日韓の民間交流の必要性を語った。李さんは、独裁政権時代の過酷な弾圧体験を交えながら、日韓関係の改善と悪化の歴史を振り返り、「朝鮮半島の平和の核は9条の精神にあるのではないか」と語った。両氏の強い自信にあふれた発言に、会場では共感の大きな拍手が起きていた。

集会の最後にジャーナリストの安田浩一氏と植村氏がそれぞれの思いを語った。
集会は午後8時半過ぎに終わった。参加者は80人ほどだった。
※講演の詳報は後日、掲載します

社会正義実現のための異議申し立て
共同代表・本庄十喜さんのあいさつ

札幌地裁に続き東京地裁においても、植村訴訟は、信じがたい耳を疑う判決が続いています。このところ、日本国内では司法の良心とは一体何なのか、人権救済を一体どこに求めることができるのか、暗たんたるやりきれない判決ばかりが聞こえてきます。
しかし、植村さんがきょうの意見陳述で述べたように、歴史と真実に向き合うジャーナリズムの原点、それこそは市民社会の求める社会正義と合致するものだと思いますが、そのような社会正義が脅かされる場合、私たち市民ははっきりと異議申し立てをしなければなりません。
残念ながら日本社会は民衆の力で社会の変革をもたらした経験が非常に乏しいのですが、お隣の国、韓国は歴史上そのような経験が日本に比べて豊富だと思います。その意味で、日本よりも民主主義がより成熟した社会だと言えるでしょう。本日は韓国の民主化闘争の生き字引のようなお二人、任在慶さん、李富栄さんをお招きできたことをたいへん光栄に思っております。李富栄さんは本日、朝鮮半島における日本国憲法第9条をテーマに講演して下さいます。韓国の民主主義の体現者が第9条をどのように評価されるのか、講演をとても楽しみにしております。
最後になりましたが、日本社会でも不正義に対してノーという権利がきちんと保障され、社会正義を貫くことができる、まっとうな社会を私たちのものとするために、そして、それを未来に生きるこどもたちに受け継ぐために、控訴審も植村さんとともに、みなさんのお力をお借りして、ともに歩んでまいりたいと思います。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。


裁判と集会の模様は、韓国のテレビ(MBC)と新聞(ハンギョレ)でも報じられた

集会では日本語と韓国語をリアルタイムで翻訳して字幕再生する最新デジタル技術も使われた