2019年9月14日土曜日

IWJ岩上氏敗訴!


ジャーナリストの岩上安見氏が元大阪府知事の橋下徹氏に名誉毀損で訴えられた裁判の判決言い渡しが9月12日、大阪地裁であった。判決は橋下氏の訴えを認め、岩上氏に33万円の支払いを命じた。岩上氏は判決を不当とし、控訴する。
橋下氏は、同氏の府知事時代の言動をツイッター上で批判した一般投稿(ツイート)を岩上氏がそのまま投稿(リツイート)したため、自身の名誉が毀損された、として2017年に提訴していた。賠償請求額は100万円。しかし、謝罪や訂正は要求していない。
これに対して岩上氏は裁判で、

・リツイートは他人のツイートを単純にそのまま投稿しただけで
・しかもリツイートは37日後に削除した
・その間もその後も橋下氏からは抗議、質問、反論がなかったし、
・また元のツイートの投稿者への提訴もない
・しかも元のツイートはいまも削除されていない
・元ツイートの内容はすでに報道などで知られた公知の事実だ
・事前の内容証明郵便などもなく突然訴えらた
・公人への批判的意見の表明(表現の自由)は保障されるべきだ

などと主張し、「橋下氏の要求は金銭だけで、訂正や謝罪は求めていない、これは訴権を乱用したスラップ訴訟だ(※注)」と批判した。
判決は、岩上氏のこれらの主張をすべて斥け、①リツイートに賛意か不同意のコメントが付けられていないことは通常考え難い、②岩上氏のツイート登録読者(フォロワー)が18万を超えている、ことを主な理由として、請求額を3分の一に減額して支払いを命じた。

※注 スラップ訴訟=SLAPP strategic lawsuit against public participation  資金力のある組織が、批判や反対意見を言論的に封じるために行う高額訴訟。または、そのような訴訟を起こすことで相手を恫喝すること(スーパー大辞林)

■判決を伝えるIWJ記事
記者会見を伝えるIWJ記事

■判決に対する弁護団声明
1 2017年(平成29年)10月29日に、岩上安身氏がツイッターでリツイートした内容を巡り、橋下徹氏が提訴した「名誉毀損」訴訟、及び提訴された岩上安身氏が反訴提起した「スラップ訴訟に対する損害賠償請求」訴訟に対する判決が本日言い渡された。
2 大阪地方裁判所第13民事部(裁判長裁判官末永雅之、裁判官重高啓、裁判官青木嵩史)は、岩上氏のリツイートにつき、表現行為として名誉毀損に該当すると判断し、リツイート内容に含まれる事実関係に関する真実性・真実相当性についての岩上氏主張を排斥し、リツイート行為の違法性を肯定した。
  その上で、橋下氏に対する損害賠償として岩上氏に対し金33万円の支払いを命じる不当な判断を行った。スラップ訴訟であるとの岩上氏の請求は排斥した。
記者会見する梓澤弁護団長(左)と
岩上安見氏=9月12日、大阪地裁内
3 上記判断は本件での表現行為がSNSという双方向性の言論空間での一断面であるという性質や、そもそも他人のツイート行為を単純にリツイートしたに過ぎない点、さらにはツイート内容それ自体も、橋下氏が大阪府知事時代に発生した大阪府職員の在職死亡事案を素材とした客観的事実を根拠とする意見の表明であり、それに関する幾多の先行報道も存在し、岩上氏自身もそれを当然の前提としていたこと等を一切無視したものである。また実際に岩上氏がリツイート行為を行ったことによる橋下氏の損害など何ら発生しておらず、その立証もない中で、橋下氏の損害を認容したものである。
4 橋下氏による本訴訟提起は、対抗言論での反論という手段を一切とらず、事前交渉の一切ない中での言論抑圧目的と言わざるを得ないものである。公人に対する批判的意見の表明は、表現の自由(憲法21条)の観点から最大限に保障されなければならない。この精神にもとる不当判決を放置することはできない。被告岩上安身氏弁護団は、控訴してさらに闘うことをここに宣言するものである。
2019年(令和元年)9月12日
リツイートスラップ訴訟岩上安身氏弁護団 
(団長 梓澤和幸)

狙い撃ちされた岩上氏と植村氏

■植村裁判に共通するもの

岩上氏が受けたこの恫喝的訴訟と、植村氏が浴びた激しいバッシングには、共通することがあります。

ひとつは、個人を特定して標的とし、その個人の言論封じを狙う動きです。
もうひとつは、そのような動きに裁判所が歯止めをかけようとはしないことです。
つまり、社会的に知名度が高く大きな影響力をもつ人物(橋下徹氏、櫻井よしこ氏)が、自分の意に反する、気に食わない、といって、ジャーナリスト個人(岩上氏と植村氏)を狙い撃ちにして苦難に陥れる、しかし、裁判所は問題の本質に立ち入らずに、些少な事実を過大評価して非情な判決を下す、という図式です。

さらに加えると、岩上氏の弁護団を率いる梓澤和幸弁護士は、植村裁判東京訴訟の弁護団の重要なメンバーでもあることです。梓澤氏は「表現の自由」にかかわる裁判を長年、数多く手がけてきたベテランです。

ご存じの方が多いとは思いますが、岩上氏と植村裁判との間には、深いかかわりがあります。
岩上氏が経営するインターネットメディアIWJ(インデペンデントウェブジャーナル)は、植村裁判を数多く報道してきました。植村裁判前の北星バッシング報道に始まり、植村氏の提訴発表記者会見や単独インタビュー、裁判報告集会のライブ中継、一審不当判決など、植村裁判に関する報道では質量ともネットメディアの中ではトップです。IWJのアーカイブスには貴重な映像記録と記事があり、その数は26本! 現在もアクセスが可能です。

岩上氏は3年前に体調を崩し、IWJの経営も順調ではないといいいます。そういう状況の中での裁判ですが、さらに控訴審も続けなければならなくなりました。
攻撃や弾圧に向き合い、苦難の中でたたかうふたりのジャーナリスト岩上安見氏と植村隆氏。私たちも応援と支援を強めたいと思います。
(text by H.N.)

判決の翌日(9月13日)、岩上氏は内田樹氏にインタビューし、その前半で、内田氏の「小学館の仕事しない」宣言と今回の判決を話題にしています。以下の写真は、ツイッターのIWJ特報のタイムラインの一部を逆順に並べたものです。