2019年4月26日金曜日

札幌控訴審報告集会

▼写真下左から=小野寺弁護士、殷弁護士、植村さん

第1回控訴審の報告集会は同日(4月25日)午後6時から、裁判所近くの市教育文化会館301会議室で開かれた。
前日に桜の開花発表があった札幌だが、この日の最高気温は12度で、冷たい強風が吹いたせいか、参加者は約60人で空席が目立った。

集会は、植村裁判を支える市民の会(略称「支える会」)事務局長の七尾寿子さんの司会で進められた。
開会あいさつは副事務局長の林秀起さん(元朝日記者)が行い、地裁判決の問題点をあらためて指摘した。
■林さんのあいさつ
札幌地裁の判決はとても承服できない判決でした。櫻井氏はジャーナリストを自称していますが、それは違うだろう、と元新聞記者のジャーナリストの端くれとして私は思っています。私は現場で若い記者たちにいちばん最初に徹底的に教えたことは、事実の裏付けを確実に取るということです。そして、あの人はこう言っていた、この人はこう言っていた、というメッセンジャーではない、自分は何をどういうふうに思うのか、そこをきちんとしていなければ記事は書けない、と徹底的に教えてきました。
ところが一審判決は、櫻井さんがそのようなジャーナリストとしての最低限の基本のキをないがしろにして、植村さんの記事が捏造だと信じたことには相当の理由がある、との結論を導いています。
櫻井さんは、自分ができること、ジャーナリストとしてやらなければならないことを意識的にしないで、そのまま裁判に臨み、裁判で主張してきたことを裁判所が認めたということです。櫻井氏が捏造だと信じたんだからしょうがないんだろう、という判決です。これではジャーナリズムというものが成り立たなくなる。この判決を覆さないと、ジャーナリズムの将来はとんでもないことになるだろうと思います。皆さんとともに高裁の控訴審を見守り、植村さんを支えていきたい。


■弁護団の報告
弁護団報告は、札幌弁護団事務局長の小野寺信勝弁護士と東京弁護団の殷勇基弁護士が、20分ずつ行った。
小野寺弁護士はパワーポイントを使って控訴審の主要論点を説明し、今後の展開については「裁判所は次回期日を設定した。1回限りで終わらずに弁論が続行されることを高く評価している」と語った。殷弁護士は、東京訴訟が裁判官忌避により中断に至った事情を説明したあと、「慰安婦問題にかかわる裁判官は、戦時責任と戦後補償にどんな問題意識を持っているのか。その点についても、重大な関心を持ちつづけていきたい」と語った。


■徃住嘉文さんの報告
櫻井よしこ氏の言説の変遷に重大な疑問
続いて徃住嘉文さん(元道新編集委員)が報告。櫻井よしこ氏の言説の重大な変遷について、具体的な資料をもとに説明し、櫻井氏の主張の大きなブレと乱れを徹底批判した。
櫻井氏はかつて、植村氏と同じように、慰安婦問題を戦時責任と人権侵害という視点から取り上げ、慰安婦の被害体験や境遇に心を寄せていた。植村氏が元慰安婦の金学順さんについて記事を書いた1991年の翌92年のこと、櫻井氏はキャスターをしていたニュース番組で「強制的に従軍慰安婦にさせられた慰安婦たち」と語り、週刊誌では「強制的に旧日本軍に徴用された」「戦地にまで組織的に女性達を連れていった」と書いていた。ところが、櫻井氏はそれから20年以上もたった2014年に、植村氏の記事を「捏造」と決めつけ、植村バッシングに火をつけた。
櫻井氏のこの重大な変遷に、はっきりした理由や根拠があるのだろうか。説得力のある合理的な説明がなければ、櫻井氏の責任を免じた札幌地裁判決の「真実相当性」も揺らぐ。弁護団が提出した控訴理由補充書はこの重大な疑問を詳しく論じている。
徃住さんは、ニュース番組映像を上映した後、「重大な疑問」の内容を説明した。徃住さんは100冊近くもある櫻井氏の著作を丹念に読み解く作業を続け、問題のニュース番組や記事を掘り起こした。番組の映像記録と週刊誌記事は、裁判の重要証拠として控訴審に提出されている。
※詳しい内容は、「週刊金曜日」最新号にあります。=4.26/5.5合併号p30-31、<「櫻井よしこ氏は「日本軍強制説」を報じていた---自らの報道棚にあげ、他者を「捏造」呼ばわり>


■植村さんのあいさつ
集会の最後は植村さんが締めくくった。植村さんは、この日の法廷で述べた意見陳述の要点を説明したあと、高裁向け署名について、「1万3090筆という数、私たちはじつはもう勝っている、これは民衆法廷だ、青空のもとでの陪審に勝っている、ということだ、あとは札幌高裁で逆転するだけです」と語った。
集会は午後8時過ぎに終わった。