娘さんに異例の全額認める判決
ネット中傷投稿者への損害賠償請求裁判で
植村隆さんの娘さんが、ネットで中傷の書き込みをした投稿者を相手取って起こした裁判の判決が8月3日午後、東京地裁で言い渡されました。原告(娘さん)が請求した170万円満額が認められ、原告側全面勝訴の判決です。
今回の訴訟は、植村さんの娘さんが2014年9月、写真と名前をツイッター上にさらされ「反日韓国人の母親、反日捏造工作員の父親に育てられた超反日サラブレッド。将来必ず日本に仇なす存在になるだろう」などと中傷の書き込みをされた問題をめぐる一連の裁判の一環。8月3日に言い渡されたのは、このツイッターを書き込んだ投稿者本人を相手取った訴訟の判決です。
ツイッター社に発信者情報開示命じる仮処分決定⇒プロバイダーに投稿者の住所氏名開示命じる判決⇒そして投稿者をプライバシー権と肖像権侵害で提訴⇒全面勝訴
原告側資料によると、植村さんの娘さんは代理人を通じて2015年3月、まずツイッター社に発信者情報の開示を求める仮処分を東京地裁に申し立て、同年6月に投稿者のIPアドレスの開示を命じる仮処分決定が出ました。ツイッター社からの開示を受けてプロバイダーを特定し、プロバイダーを相手取り投稿者の住所氏名の開示を求める訴訟を提起。今年2月の地裁判決で開示が命じられました。
プロバイダーが開示した個人情報で特定された投稿者を相手取り、「ツイッターの投稿で名誉が傷つけられ、プライバシー権と肖像権が侵害された」として2月に提訴。被告本人は法廷に出頭して、自分が投稿したことを認めたといい、8月3日に判決が言い渡されたものです。
2014年に植村さんやご家族、勤務先の大学を襲った一連のバッシングのうち、この1件だけですが、記事と何の関係もない娘さんを攻撃したツイッター投稿者の身元を裁判によって特定し、責任を追及したことになります。原告弁護団は、同種の匿名による誹謗中傷に対する抑止力になるよう、この判決の意義を広めたい、と言っています。
原告側はプライバシー保護を理由に、この訴訟を公にせず進めてきていました。
勝訴後に開いた記者会見の終了をもって解禁となったので、お知らせします。
この日、東京地裁ではこの判決の後、午後3時から別の法廷で植村裁判東京訴訟の第6回口頭弁論があり、午後4時すぎからは報告集会が開かれました。娘さんの完全勝訴の報はその集会の冒頭に報告されました。会場には大きな拍手が沸き起こりました。植村弁護団(東京)の神原元弁護士は、「認容額が高額であること、また満額であることは異例だが、高く評価できる」と解説しました。植村さんは、「裁判所は和解を勧めたが娘は判決を求めた、そして勝った。私はそんな娘に支えられている、だから私は負けない」と語りました(写真上=8月3日午後、報告集会会場となった霞が関の弁護士会館で)。