2016年6月29日水曜日

札幌訴訟第3回期日

植村裁判札幌訴訟(被告櫻井よしこ氏と出版3社)の第3回口頭弁論は、7月29日(金)午後3時30分から、札幌地裁805号法廷で開かれます。裁判終了後の報告集会は午後4時30分から札幌市教育文化会館で開催、弁護団と植村さんの報告の後、精神病理学者の野田正彰さんが講演をします。











































2016年6月10日金曜日

札幌訴訟第2回速報

入廷する植村さんと弁護団(6月10日、札幌地裁)

札幌訴訟の第2回口頭弁論は6月10日(金)、札幌地裁で開かれました。

札幌ではきのうから夏の訪れを告げる「よさこいソーラン祭り」がにぎやかに開催中で、裁判所周辺でも「ソーラン」が遠くから聞こえていました。傍聴抽選には111人が行列を作りました。抽選倍率は一般傍聴席70に対して約1.6倍(前回は3.5倍)。櫻井氏の支援者とみられる日本会議系の団体が事前に傍聴を呼び掛けていましたが、それとおぼしき人物と確認できたのは数人のみ。3人程度が抽選に当たり、傍聴券を手にしたようです。

805号法廷の原告代理人席(植村さん側)はこの日もいっぱいの4列になりました。そのため椅子の列は証言台のすぐ前までせり出し、通常の裁判では最前列に座るはずの植村さんが、2列目に埋もれる形になりました。
午後3時半開廷。裁判長に向かって左側に植村さんと弁護団の計27人が着席。対する被告席は林、高池弁護士ら代理人6人で、櫻井氏の姿はありませんでした。
裁判はそれぞれの主張を展開する準備書面の応酬となっており、法廷ですべてが読み上げられるわけではないので傍聴席からはそれぞれの主張の組み立て、争点が分かりにくい。この日の法廷では櫻井氏側の準備書面(3月31日付)に対する反論をまとめた原告側準備書面(6月6日付)の要旨のみ、成田悠葵弁護士が読み上げました。
それによると、櫻井氏側が「捏造」の表現を「意見」「論評」と主張するのに対し、原告側は過去の判例などを踏まえ、「捏造」は証拠の裏付けが必要な「事実摘示()(事実を暴くこと)である」と反論。櫻井論文を「事実摘示」とみるか「意見」「論評」とみるかが争点になってきました。

この後、岡山忠広裁判長は原告側に対し、「どの部分が事実の摘示に当たるのか、なぜ植村さんの社会的評価の低下に当たるのか、整理してほしい」と注文。約15分間で閉廷し、非公開の進行協議に移りました。
進行協議では、次回以降の年内の期日が以下のように決定しました。
▼第3回7月29日(金)、第4回11月4日(金)、第5回12月16日(金)、いずれも午後3時半開廷、805号法廷


報告集会は午後6時から、裁判所近くの札幌市教育文化会館(3階研修室)で開かれました。
はじめに、弁護団の秀嶋、成田両弁護士が報告と解説をしました。秀嶋弁護士は、「事実摘示の具体的な主張」を裁判長から求められたことについて、「事実摘示は細かな部分ではなく文脈全体で論じるべきこと」としながらも、「早い段階で論点を整理しようという、裁判促進法に則っている」と、裁判長の訴訟指揮に納得のいく説明をしました。
植村さんは、3カ月がたった韓国での生活ぶりを、スライド映像を使いながら語りました。ジョークを交えた植村さんの軽妙な語りが、会場の参加者の柔らかな笑いに包まれていました。
休憩をはさんで行われた講演は、北大准教授の玄武岩さんによる「ナショナリズムとメディア」。玄さんは1時間にわたって、なめらかな日本語で、「国益」についての新聞社間の意見対立と朝日新聞バッシングとの関連や、社説の変容の背景を分析した後、「少女像」をめぐる最新の韓国社会のホットな状況を報告しました。出席者は80人を超え、会場は満員でした。


報告集会詳報は、記録サイト「植村裁判資料室」にあります。こちら


会場いっぱいの報告集会(同日、札幌市教育文化会館)







2016年6月6日月曜日

植村隆のソウル通信第3回

エネルギー源は、カトリック大学の特製トンカ


私が一番気に入っている食べ物は、カトリック大学の学生食堂の特製トンカツだ。正式名は「スジェ(手製)ワン()カツレツ」。ワン()というのは、愛用の電子辞書によると、「非常に大きいことを表す接頭語」だ。3500ウオンなので、日本円で350円くらい。物価高の韓国では、格安の食べ物だ。
裁判に「勝つ」という意味も込め、縁起がよさそうなので、注文してみたところ、結構いけるので、しばしば夕食として食べている。これが、私の大学でのエネルギー源である。

学生食堂は午後7時半に、注文の受け付けが終わる。いつもぎり ぎりに食堂へ駆けつけている。食券を渡すと、食堂のおばさんが、「ちょっと時間がかかるけれど、待っててね」などと言い、生のトンカツを油に入れて、悠然と揚げ始める。この食堂では、作りおきのカツでなく、注文があってから、揚げてくれるのだ。冷たいものを、レンジでチンではないのである。

出来立てのものを学生たちに食べさせたいというあったかい思いやりなのだろう。私としても、テーブルで、本を読みながら、待つので気にならない。何分か待てば、揚げたてのカツレツがカウンターに登場する。それを受け取って、テーブルへ運ぶときの期待感はなかなかのものだ。

ナイフとフォークで、トンカツを切り取り、口の中へ。 衣の下の、豚肉は薄くて、あまり存在感はない。しかし、できたて、ほかほかのトンカツに、トマト味のソースがどばっとかかっており、迫力は満点だ。ごはんは、小盛りである。それにキャベツなどの野菜を刻んだサラダ、クリームスープ、黄色いタクワンがついている。食べながら、元気が出るのが分かる。

しかし、人間は欲深い存在だ。最近は、この特製トンカツを食べながら、「物足りないナ」と思うようになった。やはり揚げたての油モノには、「あの泡の出る黄金の飲み物」がよく合う。だが、カト リック大では食堂などオープンな場所では、禁酒である。学生食堂の下にある、コンビ二にも当然、ビールは売っていない。 「ビールが飲みたい」と思いながら、トンカツを食べるむなしさに、さいなまれるようになった。一種の「煩悩」である。「煩悩@カトリック大」である。

禁酒の国イランで特派員をやった時代を思い出した。
出張でイラン航空を使うとき、機内に欧州製の缶入りノンアルコールビールを持ち込んだことがある。驚いたような表情を見せたへジャブ姿の女性乗務員に、これは「アルコールが入っていないので、大丈夫だ」と説得、安心させた「実績」もある。

「そうだ。カトリック大の食堂に、ノンアルコールビールを持ち込も う」。
そう思って、近所のスーパーで、韓国のビール会社「ハイト」製のノンアルコールビールを買った。1本800ウオン。アルコール分ゼロという意味で、カンには英語で力強く「ZERO」という表示もある。

180分授業の終わった5月31日()の夕方、冷やしたこのノンアルコールビールを持参して、食堂へ行った。「禁酒のおきてを破っているのでは」と 誰かに言われるのではないか、とちょっぴり心配もしたが、そんなことはなかった。

食堂の外のテラスで、ノンアルコールビール片手に、あつあつの特製カツレツを楽しんだ。キャンパスは緑。さわやかな風に吹かれ、幸福なひと時だった。
皆さんが、カトリック大学に訪問したら、ぜひ、この学生食堂に案内したい。
そして、このささやかな幸せを分かち合いたいと思う。
  
【写真】ノンアルコールビールと特製トンカツを手にする=5月31日、カトリック大学聖心キャンパスで


2016年6月5日日曜日

札幌訴訟第2回迫る










札幌訴訟の第2回口頭弁論は6月10日(金)午後3時30分から、札幌地裁805号法廷で開かれます。傍聴抽選は午後3時に行われますので、2時45分までに集合してください。
報告集会は午後6時から、札幌市教育文化会館で開催します。玄武岩・北大准教授の講演「ナショナリズムとメディア」があります。