2019年4月19日金曜日

映画「主戦場」公開

慰安婦問題をめぐる日韓米の論争を取り上げた映画「主戦場」が4月20日から、東京ほかで公開される。試写を見たジャーナリスト文聖姫さんに短評をお願いした。 

日本、韓国、米国の論客がスクリーン上で激論

映画製作のきっかけは植村バッシング

真摯に公平に耳を傾けるミキ・デザキ監督

4月20日(土)より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される『主戦場』は、元日本軍「慰安婦」問題をめぐって、左右の論客がスクリーン上で議論を闘わせる映画だ。櫻井よしこ氏や杉田水脈氏、ケント・ギルバート氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、吉見義明氏、渡辺美奈氏、林博史氏、朴裕河氏など20数名の人々が、それぞれの立場から「慰安婦」問題について語る。

監督の日系アメリカ人、ミキ・デザキ氏が映画を作ろうと思ったきっかけが、実は植村隆さんだった。植村さんが「朝日新聞」大阪本社版に1991年に書いた2本の元「慰安婦」関連記事をめぐって誹謗中傷されていることを知ったデザキ氏は、「慰安婦」問題がなぜ日韓の間で論争になっているのかを理解したいと考えるようになる。そのために彼が取った方法が、「慰安婦」論争の中心人物たちを訪ね歩き、その人たちの証言を聞くことだった。もちろん植村さんも登場する。

映画では、左右の証言が公平に紹介される。デザキ氏にとって、「フェア」であることが何よりも大切だったからだ。左右いずれの立場の人々に対しても、公平に、そして決して偏見を持たずに、証言に耳を傾けるデザキ氏の真摯な態度が見て取れる。しかし、映画が進むにつれて、どちらの論理がより説得力があるのか、観客がおのずとわかるようになっている。

ところで、左右どちらの論理に説得力があるのか。それはネタバレになるので、ここでは語ることができないが、ぜひ映画を見てほしい。「自分で映画を体験して、自分なりの結論を導き出してほしい」というのがデザキ氏の願いでもある。映画のタイトルは、歴史修正主義者が「米国こそが歴史戦の主戦場だ」と言っているところから付けた。

『週刊金曜日』4月19日号では、筆者がミキ・デザキ監督にインタビューした記事が掲載されている。こちらの方もぜひ読んでほしい。
文聖姫・ジャーナリスト(『週刊金曜日』在籍)
 

■映画「主戦場」予告編 こちら
櫻井よしこ、杉田水脈氏のスクリーン上のコメントも紹介されている。櫻井氏は「日本軍がこんなことをするはずがないということは、もうすぐに私は直感しました」「It’s very complicated(とても複雑なので…、の字幕)と語り、杉田氏は「日本人はほとんどこんな問題はウソだろうと、あまり信じている人はもういないと思うんですよね、そんなことないよねって、強制連行なんてやりっこないよねって」と、それぞれ笑顔で語っている。

■映画「主戦場」公式サイト こちら
登場人物、監督経歴、全国上映日程のほか、荻上チキ、想田和弘、武田砂鉄、鈴木邦男氏ら9氏のコメントが掲載されている。

マガジン9の映画評 こちら
田端薫氏が短評を書いている。ネタバレに注意。

■札幌での公開予定
製作元によると未定だが交渉中という。