植村隆さんの講演会が、2月4日午後、沖縄・那覇市で開かれます。会場は、沖縄大学3号館101号教室です(午後2時から5時まで)。植村さんは「私は『捏造記者』ではない」と題して講演をします。「なぜ植村さんが狙われたのか。この事件と植村さんの闘いが問うているものは何か。私たちは何をしたらいいのか。歴史修正主義、ジャーナリズム・言論表現の自由、大学自治などについて議論し考える機会にしたい」と主催者は呼びかけています。問い合わせは、090-1947-6327(米倉さん)へ。=写真左
植村さんはこの講演の前後に、辺野古に行くほか、沖縄大でのゼミ講義、ジュンク堂書店でのトークイベント、JCJ(日本ジャーナリスト会議)沖縄支部結成集会への参加など、過密スケジュールをこなす予定です。
■メディアの萎縮歴然 真実伝え言論の自由守る
植村さんと語る集いに寄せて 樋口みな子植村隆さんが26年前に書いた「慰安婦」問題の記事が発端になって、激しいバッシングにさらされた。植村さんが現役の朝日新聞記者だったら、ここまでたたかれただろうか? これは言論の自由に対する卑劣な攻撃である。
匿名で発するネットでの「反日」「売国奴」「国益を損なった」「国賊だ、出ていけ」などの罵詈雑言に、社会はこんなにも変わってしまったのか?と強い衝撃を受けた。
植村さんが非常勤講師をされていた北星学園大学 (札幌市)に3千通を超える脅迫や嫌がらせメールが届いた。札幌では、植村さんを応援しようという世論が一気に高まった。
2014年のバッシングは異常だったと植村さんは振り返り、さまざまなバッシングに怯まなかったのは「私には事実という武器がある」からと語っている。
植村隆さんは名誉毀損訴訟の原告として東京と札幌で昨年、計9回の口頭弁論に出廷した。3月からは韓国にも拠点を構え、カトリック大学(ソウル)の客員教授としで日韓両国の理解と交流の推進に力を尽くした。国内では、全国各地から招かれて集会やシンポジウムでバッシング攻撃の理不尽さと歴史修正主義勢力の誤りを、丁寧に語り続けた。講演会は大小合わせて40回を超え、日韓の大学での講義も11回! 不屈の精神と頑健な肉体の持ち主だからこそ、乗り切れたのだと思う。
社会全体が異論を許さない時代の空気を感じる。さまざまな意見を言える場が、最近は狭まっているように感じる。植村バッシングは象徴的な出来事ではないだろうか? 新聞の役割は権力の監視である。「植村さんは捏造などしていない」と新聞は大論陣を張って、植村さんを擁護してほしかった。やっかいな問題には触れたくないと、政治権力を恐れた萎縮か進んでいるのが歴然である。
昨年9月、植村さんの九州講演会ツアーにボランティアとして参加した。講演会では、福岡、熊本、水俣、北九州市などを巡り、水俣病やハンセン病問題で差別・偏見と闘ってきた歴史、川内原発に反対する闘いなど、粘り強い闘いの歴史をひしと感じることができた。たくさんの方が植村さんの話に耳を傾け、感想を記した。その一部を紹介する。
▽言論の自由、報道の自由がなくなっていくとどうなるのか、まざまざと感じることができました。自分の立っているところで、しっかり闘っていかねばと心新たにしました。▽報道のごまかしや矛盾を改めて実感しました。真実を隠そうとする姿を見極めていきたいと思います。歴史修正主義者と闘うには学ぶことの大切さを思いました。元慰安婦の人権を守ることは私たちの人権を守ることだ。▽在日朝鮮人としてこれからも、言論の暴力に信念を持って立ち向かっていこうと思います。植村さんから闘う勇気をもらいました。▽戦争の足音が聞こえるようなお話だった。何としても押し返さなくてはと思った。
さまざまな市民運動で闘ってきた人たちに出会えて、厳しい闘いであっても真実を訴え続ければ、支援の輪が広がることを実感した。私も伝えることで植村さんを応援し続けたいと思う。
植村さんの講演を何度も聞いているが、植村さんはどんどんパワーアップしている。ぜひ沖縄講演会に足を運んでください。お目にかかれるのを楽しみにしています。 (植村裁判を支える市民の会事務局、個人通信「銀河通信」主宰)