植村隆さんが韓国の「李泳禧賞」の第7回受賞者に選ばれました。
同賞は、韓国民主化運動で知識人や学生に大きな影響を与えた李泳禧氏(1929~2010年)を記念し、すぐれたジャーナリストを顕彰する賞です。植村さんの韓国での受賞は昨年5月の「キム・ヨングン民族教育賞」※に次いで2度目です。今回の受賞を報じる「ソウル聨合ニュース」11月18日付け記事を転載します。
同賞は、韓国民主化運動で知識人や学生に大きな影響を与えた李泳禧氏(1929~2010年)を記念し、すぐれたジャーナリストを顕彰する賞です。植村さんの韓国での受賞は昨年5月の「キム・ヨングン民族教育賞」※に次いで2度目です。今回の受賞を報じる「ソウル聨合ニュース」11月18日付け記事を転載します。
慰安婦証言を最初に報じた元朝日新聞記者 韓国でジャーナリズム賞受賞
【ソウル聯合ニュース】韓国・李泳禧(リ・ヨンヒ)財団の李泳禧賞審査委員会は18日、今年の第7回李泳禧賞受賞者に元朝日新聞記者で、韓国・カトリック大兼任教授の植村隆氏が選ばれたと発表した。
同賞は真実の追求に努めたメディア関係者などに授与されるもので、植村氏は旧日本軍の慰安婦被害者である金学順(キム・ハクスン)さん(1997年死去)の証言を確保し、91年8月11日付の朝日新聞で記事にした。
この記事の3日後に金さんの記者会見が行われ、慰安婦問題に対する日本政府の謝罪と賠償を要求する国内外の運動につながった。
これに対し日本の右翼勢力は植村氏の転職を妨害するなど、植村氏とその家族に圧力を加えた。
植村氏は著書「真実 私は『捏造記者』ではない」を発表し、日本の右翼勢力からの非難や脅迫に反論したほか、自身を誹謗(ひぼう)中傷したメディアなどを相手取り訴訟を行っている。
審査委員会は「歴史修正主義を掲げた安倍政権が慰安婦問題や強制労働問題などの歴史に対する一切の反省を拒否し、韓日間のあつれきを引き起こす今、植村記者に声援を送るのは李泳禧先生が生涯を捧げて追求してきた北東アジアの平和のための道」と説明した。
植村氏は受賞について、負けずに頑張れという韓国ジャーナリズム界からの激励と考えるとし、この受賞を機に韓国と日本のリベラル勢力の交流が一層深くなることを願うと話した。 授賞式は来月4日午後に韓国プレスセンター(ソウル市中区)で、李泳禧氏の死去9年の追悼行事とともに開かれる。受賞者には賞牌(しょうはい)と賞金1000万ウォン(約93万円)が贈られる。
※昨年5月の記事 こちら同賞は真実の追求に努めたメディア関係者などに授与されるもので、植村氏は旧日本軍の慰安婦被害者である金学順(キム・ハクスン)さん(1997年死去)の証言を確保し、91年8月11日付の朝日新聞で記事にした。
この記事の3日後に金さんの記者会見が行われ、慰安婦問題に対する日本政府の謝罪と賠償を要求する国内外の運動につながった。
これに対し日本の右翼勢力は植村氏の転職を妨害するなど、植村氏とその家族に圧力を加えた。
植村氏は著書「真実 私は『捏造記者』ではない」を発表し、日本の右翼勢力からの非難や脅迫に反論したほか、自身を誹謗(ひぼう)中傷したメディアなどを相手取り訴訟を行っている。
審査委員会は「歴史修正主義を掲げた安倍政権が慰安婦問題や強制労働問題などの歴史に対する一切の反省を拒否し、韓日間のあつれきを引き起こす今、植村記者に声援を送るのは李泳禧先生が生涯を捧げて追求してきた北東アジアの平和のための道」と説明した。
植村氏は受賞について、負けずに頑張れという韓国ジャーナリズム界からの激励と考えるとし、この受賞を機に韓国と日本のリベラル勢力の交流が一層深くなることを願うと話した。 授賞式は来月4日午後に韓国プレスセンター(ソウル市中区)で、李泳禧氏の死去9年の追悼行事とともに開かれる。受賞者には賞牌(しょうはい)と賞金1000万ウォン(約93万円)が贈られる。
update 2019/11/23 pm5:50
おことわり■
上記の「聨合ニュース」の記事の見出しは「慰安婦証言を最初に報じた元朝日新聞記者 韓国でジャーナリズム賞受賞」となっていますが、正確には、植村さんは「慰安婦証言を最初に報じた元朝日新聞記者」ではなく、「韓国内で初めて名乗り出た元慰安婦(金学順さん)の証言を最初に報じた元朝日新聞記者」です。韓国外では金学順さんよりも先に名乗り出た元慰安婦がおり、沖縄在住の裵奉奇(ペ・ポンギ)さんやタイ在住の蘆寿福(ノ・スボク)さんの証言と境遇は、日本では1970年代後半から80年代にかけて、共同通信や朝日新聞(松井よやり記者)、ドキュメンタリー作家(川田文子氏)、映像作家(山谷哲夫氏)らによって報じられています。
なお、この見出しに似た「慰安婦証言を最初に報じた植村記者」という表現は、櫻井よしこ、西岡力氏らが植村さんを攻撃するさいにも用いられるものです。櫻井、西岡氏らは、「強制連行された慰安婦」というのは朝日新聞が作りだした虚像に過ぎない、という印象を世論に刷り込むために、吉田清治氏による「加害者証言」と植村記者による「被害者証言」をセットにして「捏造」と決めつけ、日本の国益が損じられたと主張しています。その主張をもっともらしく見せかけるために、植村記者の記事が慰安婦報道で初めてのスクープであるかのように誇大表現しているのです。ふたりのキャンペーンによって「慰安婦報道=吉田清治=植村捏造記事」という思い込みが多くの人に刷り込まれた、と『慰安婦報道「捏造」の真実』(花伝社刊)で水野孝昭氏が指摘しています(同書第2章、p6~8)。