2017年2月10日金曜日

札幌訴訟第6回期日


原告側被告櫻井はきわめて違法で悪質」と厳しく批判
裁判長「7月までに双方は主張を終えるように」と指示

植村裁判札幌訴訟(被告櫻井よしこ氏、新潮社、ダイヤモンド社、ワック)の第6回口頭弁論が2月10日、札幌地裁803号法廷で開かれた。
柔らかな日差しが春の到来間近を思わせる季節。正午の気温はプラス4度。裁判所のすぐ近くの大通公園は雪まつりでにぎわっていた。開廷前の傍聴券交付(定員71人)の行列には73人が並び、今回も抽選となった。
植村弁護団は補助席も含めて21人が着席、いっぽう被告側弁護団はいつものように7人が席に着いた。定刻の午後3時30分開廷。はじめに被告、原告双方からそれぞれ4通の準備書面の提出の確認(陳述)があった。その後、植村弁護団の福田亘洋、秀嶋ゆかり両弁護士が第9準備書面の要旨を朗読(意見陳述)した。
同書面は、「被告櫻井による本件各名誉毀損表現が、判例上打ち立てられた抗弁の前提を欠くほど悪質性を帯びたものであることを踏まえた上で、被告らの抗弁に対する反論を行っている」もので、櫻井よしこ氏をこれまでになく強い語調で、鋭く批判し徹底的に糾弾している。「被告は…」ではなく「被告櫻井は…」と読み上げること計43回! 福田、秀嶋両弁護士の凛然たる声が廷内に響き渡った。その一部を紹介する。


●被告櫻井は悪質な攻撃(バッシング)の手段として、原告の記事の用語と内容を敢えて捻じ曲げて記述することで、「捏造」「虚偽報道」と断定している
●被告櫻井は、原告の記事を「捏造」であると言うために、敢えて記事の核心的な部分である元従軍慰安婦であった女性が自ら体験した性暴力被害を語った点に一切触れていない
●このような被告櫻井には、抗弁を主張することの適格性すらないというべきである
●被告櫻井は原告の記事を執拗に「捏造」記事であると主張する反面、これらと同様内容の記事を掲載した国内他紙に対するバッシングは一切行っていない
●つまり、被告櫻井は、原告のみを目の敵とし、同人に対するバッシングが最も功を奏するタイミングを見計らって名誉毀損行為を行っていたのである
●被告櫻井による名誉毀損行為の違法性・悪質性は顕著であり、他の同種事案に比して際立っている
●被告櫻井は、より鮮明に「連行されて日本陸軍慰安所に送られ」「強制連行」「強制的に」等と記した読売新聞社、産経新聞社に対しては、全く批判せず、ことさら原告及び朝日新聞社を狙い撃ちしている
●被告櫻井の名誉棄損表現は、原告に対する根拠のない誹謗中傷そのものであり、その記述内容には、全く公共性・公益目的性は認められない

何度も繰り返し語られてきた植村裁判の核心の事実だが、このようにまとめ束ねて語られると、3年前のバッシングが思い出され、新たな怒りがわいてくる。
意見陳述は20分ほどで終わり、岡山忠弘裁判長が今後の進行についての考えを述べた。「名誉棄損表現をめぐる双方のやりとりは次回と次々回で終え、そのあと、人証(証人尋問と本人尋問)に移る」と明言した。札幌訴訟はいよいよ胸突き八丁にさしかかる。すでに決定ずみの7回(4月14日)に続き、次々回(8回)は7月7日(金)と決まった。本日の閉廷は午後4時2分だった。

報告集会は午後4時半から札幌市教育文化会館で開かれた。
弁護団の小野寺信勝弁護士の裁判報告、植村さんの沖縄講演ツアー報告の後、外岡秀俊さん(ジャーナリスト、作家)が「トランプ現象とメディア」と題して講演した。外岡さんは、植村バッシングの社会的、政治的背景と植村裁判の意味を語ったあと、トランプ旋風を巻き起こしたアメリカ社会の変化と、第2のマッカーシズムの到来もあり得るメディア状況を分析した。
参加者は120人近く。定員84人の会場に他の部屋から補助いすが運び込まれるほどの盛況だった。